2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570895
|
Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
安藤 興一 放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (00159526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 千太郎 放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター, 研究員 (60163268)
|
Keywords | 記憶学習 / 胎児期被曝 / 放射線防護 / 海馬 / 染色体異常 / エタノール / リンパ球 / 造血機能 |
Research Abstract |
本研究では,放射線脳局所照射モデルおよび胎児期被爆モデルによる記憶・学習におよぼす影響とその機序について検討し,加えてアルコールによる防護作用について基礎的検討を行った. 本年度,高密度電離放射線である炭素線および陽子腺10-30Gyを脳局所に照射したC57blマウスで,36時間後に短期記憶障害が誘発されることを見いだした.また晩発性障害として照射3ヶ月後に長期記憶の障害が認められたが,この時期には海馬CA1-3領域の神経細胞が41-53%減少していた.一方,胎児期にX線1.5Gy全身照射したWistarラットは,成獣すると重篤な記憶・学習障害が生じていた.海馬神経細胞層に異所性細胞群が認められたことから,胎児期照射が成獣したマウスで情報伝達阻害を生じていることが推察された(Takai. Ando. Takahashi:投稿中).以上の結果は,放射線脳局所照射モデルおよび胎児期被曝モデルいずれにおいても,海馬領域の特異的変化が伴っており,それが放射線による脳機能障害の要因であることが示唆された. 放射線によるアルコールの防護作用については,以前我々はヒト血液において,0.01-0.1Mのエタノールの添加が,X線照射後に誘発されるリンパ球染色体異常誘発頻度をエタノール濃度依存的に減少させることを見出している.本年度は,さらにアルコール飲料の成分であるbeta-Pseudouridineは,高LET放射線(50keV/μm炭素イオン線)および低LET放射線(200kVpX線)により誘導されるヒトリンパ球染色体異常頻度を減少させる効果をもつことを明ちかにした(Monobe, Ando : Mutation Res 2003)。またC3Hマウス全身照射前にビールを経口摂取させることにより,高LET放射線(50keV/μm炭素イオン線)および低LET放射線(γ線)による造血機能障害、腸管障害が押さえられることを見出した(Monobe, Ando : J Rediat Res 2003).現在,アルコールおよびビール中放射線防護成分が,放射線脳局所照射モデルにおいて宥効な作用を有するかについて,検討している.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.Monobe, S.Arimoto-Kobayashi, K.Ando: "b-Pseudouridine, a beer component, reduces radiation-induced chromosome aberrations in human lymphocytes"Mutation Research. 538. 93-99 (2003)
-
[Publications] Manami Monobe, Sachiko Koike, Akiko Uzawa, Koichi Ando: "Effects of beer administration in mice on acute toxicities induced by X rays and carbon ions"J.Radiat.Res.. 44. 45-80 (2003)
-
[Publications] Shao C, Furusawa Y, Aoki M, Ando K: "Role of gap junctional intercellular communication in radiation-induced bystander effect on human fibroblast cell"Radiat Res.. 160. 64-69 (2003)