2004 Fiscal Year Annual Research Report
周生期ストレスが子供の脳発達に及ぼす影響-母子間相互作用の発達精神病理学的解析
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14571050
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
三木 崇範 国立大学法人香川大学, 医学部, 助教授 (30274294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 俊史 国立大学法人香川大学, 医学部, 助手 (10380156)
日下 隆 国立大学法人香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
渡辺 岳海 国立大学法人香川大学, 医学部附属病院, 助手 (50304598)
伊藤 進 国立大学法人香川大学, 医学部, 教授 (80145052)
竹内 義喜 国立大学法人香川大学, 医学部, 教授 (20116619)
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Keywords | 母性剥奪 / ラット海馬 / BDNF mRNA / Real-time PCR / 定量解析 / ストレス / 成人病素因 |
Research Abstract |
「母仔分離・母性剥奪」が、子供の脳発達に及ぼす影響について、分子神経機能的・発達神経科学的に解析することを目的とした本研究において、生後10-15日間、3時間/日母子分離したモデル動物を作成し、この動物を使って以下のことが明らかになった。 ■海馬における、BDNF mRNAの発現をreal-time PC定量解析 BDNF mRNAは、10-15日齢間の母仔分離ラットでは、対照群に比して、BDNFの有意な減少(16&20日齢)と有意な増加(60日齢)を認めている(Kuma et al.,2004)。脳の発育時期において、神経栄養因子の発現は、神経発生-移動-成熟-シナプス形成、そして機能発現のタイミングに合わせて、非常に厳密にコントロールされている。このような発現レベルの変動は、分子レベル(例えばレセプターレベル)での変化につながり、行動異常や、学習能力の低下につながるものと推測される。 ■母仔分離ストレスと血中コルチコステロン濃度・下垂体の変化 母仔分離した動物では、分離中においては、血中コルチコステロン濃度は、対照群32ng/dLに対して、51ng/dLと有意に高値であった。分離期間が終了すると両者殆ど同一の値を呈し、40ng/dLであった。しかしながら、母子分離した群の下垂体重量は、有意に、小さい値をとっていた。これらのデーターは、視床下部-下垂体軸の機能的変化を示唆しており、内分泌環境の変化を示唆するものである。 ■母仔分離した動物の体重変動 母仔分離した動物では、対照群に比較して、60日齢での体重が有意に高い結果を得た。これは、将来、肥満を呈する可能性を示唆しており、弱年時の肥満は、将来の成人病の素地因子に1つであることから、今後の詳細な研究が望まれる。
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Research Products
(6 results)