2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子診断を応用した大腸癌肝転移の進展様式についての研究-術式の標準化をめざして
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14571182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國土 典宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (00205361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 健司 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10242059)
三木 義男 癌研究会, 研究所・遺伝子診断部, 部長(研究職) (10281594)
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Keywords | 大腸癌 / 転移性肝癌 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
【研究目的】遺伝子診断を応用して大腸癌肝転移の肝実質方向、またグリソン鞘方向への進展について検討した。【研究方法】1996年から2000年の期間に切除した大腸癌肝転移58例を対象とした。新鮮標本の病巣最大割面で、転移巣と非癌部肝組織から約5x3mm角のサンプルを採取し、DNAを抽出後、K-rasおよびP53遺伝子の変異を検討した。K-ras変異はMASA法(mutant allele specific amplificatioh)を用いてcodon 12および13での変異を検索した。p53遺伝子についてはエクソン5〜8についてPCR-SSCP(Single Strand Comformation Polymorphysm)でスクリーニングし、シークエンス法によって変異を同定した。同じ割面で組織学的なmicrometastasesについても検索した。肝転移巣の遺伝子変異はK-rasが15例(24.2%)、P53が31例(50%)で認められ、どちらかに変異の見られた症例は39例(62.9%)であった。これ以後の遺伝子検索はこの39例でのみ行った。【結果】非癌部肝実質サンプルの検討では、変異がみられ遺伝子学的なmicrometastasisの存在が疑われたのは2例のみで、その部位は腫瘍境界から2mmと4mmで、比較的近傍に限られていることがわかった。グリソン鞘組織サンプルの採取部位は、腫瘍境界から2〜25mmに分布していた。変異がみられたのは5mmの部位の3例で、1例は肉眼的な門脈腫瘍栓のある特殊例であった。組織学的なMicrometastasesは62例中15例24.2%でみられた。部位別の分布はほとんどが2mm以内、最大で5mmの範囲にとどまっていた。遺伝子学的なmicrometastasesと一致したのは2例であった。肝の切除断端での再発は疑い例を含めて4例あったが、今回検出されたmicrometastasesと関連すると考えられたものはなかった。【結論】大腸癌肝転移切除において、肝実質方向およびGlisson鞘方向の断端再発を完全に防止するためには5mm以上のSurgical Marginが推奨されるが、95%以上の症例では2mm程度のMarginでも十分であると考えられた。ただし、Glisson鞘方向の進展はやや広い傾向があり注意を要すると考えられた。【研究成果の意義と今後の発展性】大腸癌肝転移切除における実用的なSurgical marginが明らかになったので術式への応用が期待される。さらに、肺転移の危険の予測のための、肝静脈血中の遺伝子異常の検討も計画している。
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[Publications] Norihio Kokudo et al.: "Genetic and histologcial assesiment of surgical margersin resected liver metastuses from coloraital carinsoma"Arohives of Surgery. 137(7). 833-840 (2002)
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[Publications] Norihiro Kokudo et al.: "Predictors os succesoful hepitic rasection-prognartic wefulness of hopatic ASGP-R analysis"World Journal of Surgery. 26. 1642-1340 (2002)
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[Publications] Norikhro Kokudo et al.: "Extent of resecction and outconfollrising curative resection for inteahepatic cholaglocarcinsoma"Sing Oncol Clin N Am. 11. 969-983 (2002)
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[Publications] 國土典彦他: "膵臓十二指腸欠如における膵消化舌吻合4 二期的膵空腸吻合術"外科. 64(6). 680-684 (2002)
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[Publications] 國土典彦他: "J型切開法の具体的開胸開腹法と視野の展開図"臨床外科. 57(5). 601-604 (2002)
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[Publications] 國土典彦: "門脈圧亢進症治療における外科医の役割"日門元会誌. 7. 197-199 (2002)