2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍に対するマイクロカプセルを用た新な局所療法の開発
Project/Area Number |
14571335
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
常喜 達裕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30226378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 隆雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40307400)
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Keywords | 脳腫瘍 / DDS / 局所療法 / ポリマー |
Research Abstract |
熱可逆ハイドロゲル(ポリマー)に種々の薬剤を包埋し徐放させることにより脳腫瘍の増大を局所で抑制させる新たなDrug delivery system (DDS)の開発を行った。15度液化し体温(常温)で固形化する熱可逆ハイドロゲルにドキソルビシンを包埋し局所化学療法の研究に用いた。本年度は、ヌードマウスを用いた皮下腫瘍モデルの研究を中心に行った。まず、ドキソルビシンを同ハイドロゲルに濃度1.0mg/mlになるように包埋後、徐放速度をin vitroで確認した。その後、ヒト脳腫瘍細胞であるT98GとU87MGを用いてヌードマウスの皮下に10^6個の細胞を接種し皮下腫瘍モデルとした。ヌードマウスは、無治療群、ハイドロゲル注入群(コントロール群)、薬剤包埋ハイドロゲル注入群(治療群)に分けた。それぞれ10匹ずつ作成し、同様の実験を3回繰り返し行った。その後、定期的に皮下腫瘍の成長をキャリパーを用いて計測した。無治療群の腫瘍が接種後4週間でかなりの大きさになるため当大学実験動物規約に則りin vivo studyのエンドポイントを接種後3週間とした。大量の麻酔薬を用いて処分された実験動物から腫瘍を摘出しその重量を計測、治療効果を検討した。結果は、薬剤を包埋したハイドロゲルを腫瘍局所に注入した群では薬剤を含まないハイドロゲルを注入した群に比べて著明に腫瘍の増大抑制があることが確認された。また、Ki67, Apoptosis, EGFR等に対し免疫染色を行った結果では、腫瘍細胞増殖能の抑制とアポトーシスの増加を確認できたがEGFRの発現には差を認めなかった。これらの結果より、熱可逆性ハイドロゲルに化学療法薬を包埋した局所療法は、脳腫瘍に対して有効な治療法になり得る可能性がある事が示唆された。
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