2002 Fiscal Year Annual Research Report
リスク管理に着目した脊髄損傷患者に対する運動処方基準作成に関する研究
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14571379
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大成 浄志 広島大学, 医学部, 教授 (80034023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 浩太郎 広島大学, 医学部, 助手 (60263703)
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Keywords | 頚椎損傷者 / 静的運動 / 血圧 / 心拍出量 / 末梢血管抵抗 / 心拍数 / 交感神経 / 副交感神経 |
Research Abstract |
脊髄損傷者の運動処方を検討する基礎的データーを収集するために,頸髄損傷者における運動時の循環応答特性の検討を行った。対象はC6〜C7レベル,ASIA impairment scaleにてGrade A (S4-5レベルの運動機能,感覚機能ともに消失)の頸髄損傷者(SCI)6名と健常者(Contro1)6名である。方法は連続指血圧測定装置(TNO-TPD Biomedical Instrumentation社,Portapres Model2)を用いて1拍毎の血圧,動脈圧波形を記録し,Model Flowアルゴリズム(Beatscope ver1.0)により平均血圧(MAP),心拍数(HR),一回拍出量(SV),心拍出量(CO),総末梢血管抵抗(Tpr)を算出した。結果として,頸髄損傷者では静的運動中に血圧の有意な上昇が認められたが,健常者と比較して安静時からの変化裏は有意に小さかった。さらに,心拍数増加による心拍出裏の増加は認められたが,総末梢血管抵抗は運動中有意な変化は認められなかった。このことから,頸髄損傷者では交感神経系の障害により末梢において血管収縮を起こすことができないため,主に迷走神経を介した心拍数の増加で活動筋の酸素需要に応えていることが示唆された。また,心拍数の増加に関しても安静時から運動終了までの変化裏は健常者と同程度であったが,頸髄損傷者では有意な増加となるまでの時間が遅延していた。頸髄損傷者においては残存する迷走神経を介して100bpm前後までは心拍数を増加させることが可能である。しかしながら,最近の研究成旺から運動初期から心臓交感神経活動が増加し,HR増加に貢献するということが明らかにされた。したがって,頸髄損傷者においては心臓交感神経の障害のため,特に運動初期の心拍応答が抑制されている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)