2003 Fiscal Year Annual Research Report
リスク管理に着目した脊髄損傷患者に対する運動処方基準作成に関する研究
Project/Area Number |
14571379
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大成 浄志 広島大学, 医学部, 教授 (80034023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 浩太郎 広島大学, 医学部, 講師 (60263703)
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Keywords | 脊髄損傷者 / 酸素摂取量 / 心拍数 / 酸素摂取量-心拍数関係 / 運動強度推定 / 加速度 |
Research Abstract |
健常者における運動処方作成の手法として運動負荷時の酸素摂取量と心拍数との関係式(VO_2-HR開式)を用いることが多い.しかし脊髄損傷者では,自律神経障害による運動時心拍応答が異なるため,この関係式が不明であることから脊髄損傷者のVO_2-HR関係式の特性を検討した.対象は,運動習慣のある頚髄損傷者(CCI)6名,胸腰髄損傷者(SCI)6名および健常者6名とした.方法は,上肢エルゴメーターによる運動負荷試験を実施し,呼気ガス分析装置により酸素摂取量,心拍計により心拍数を測定し,VO_2-HR関係式を算出した.結果として,各群ともにVO_2-HR関係式は各群において,有意な正の相関を示すとともに共分散分析の結果より各群間で有意差を認めた. このことから,運動処方作成基準となるVO_2-HR関係式が脊髄損傷者と健常者では異なり,さらに脊髄損傷者でも損傷部位による運動時心拍応答の抑制が運動処方作成上重要な要因となることが明らかとなった. さらに,運動処方作成およびスポーツといった活動指標の有効性を検証するために,携帯型加速度測定器を使用し,車椅子駆動時のVO_2-HR,およびVO_2-加速度の関係式を検証した.対象は,健常男性7名とした.その結果,VO_2-HR関係式のみならず,VO_2-加速度関係式も高い相関関係が得られ,車椅子駆動時の酸素摂取量を推定する指標として加速度測定も有用であることが示唆された.また,VO_2-加速度関係式が心拍数との関係式よりも高い相関結果が得られたことから,車椅子駆動時の運動強度推定法として加速度計測法が有用である可能性が示唆された. 以上の結果より,脊髄損傷者に対し運動処方を作成する場合は,自律神経障害による運動時心拍応答抑制を考慮するとともに,加速度法による運動強度推定が有用な指標となる可能性が示唆された.
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[Publications] 高橋 真: "脊髄損傷者における静的運動時の循環応答特性について"理学療法学. (Supplement)30. 173 (2003)
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[Publications] 高橋 真: "頚髄損傷者における交感神経系傷害が静的運動時の循環応答に及ぼす影響"Advances in Exercise and Sports Physiology. 9・4. 186 (2003)
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[Publications] Sakaguchi A.: "CHANGES IN CEREBRAL BLOOD FLOW AND BLOOD PRESSURE DURING HEAD-UP TILT IN A PATIENT WITH CHRONIC QUADRIPLEGIA : A CASE REPORT"14th International WCPT Congress. (Proceeding). (2003)
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[Publications] 坂口暁洋: "脊髄損傷者における血圧脈波検査装置を用いた血管性状の検討"体力科学. 52・6. 994 (2003)