2002 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳損傷に対する低温ストレス蛋白を用いた脳低温療法の作用機序の解明
Project/Area Number |
14571456
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
森 和久 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10253999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 康文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80094192)
浦 英樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50264510)
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Keywords | 虚血性脳損傷 / 熱ストレス蛋白(HSP) / 体外循環回路 / Ubiquitin / HSC73 / 脳神経保護作用 / 低温循環停止モデル / 低温蘇生モデル |
Research Abstract |
虚血性脳損傷に対する脳低温療法が患者の神経学的予後を改善することは臨床的に明らかであるが、その作用機序に関しては明解な検討が少ない。本研究は脳低温の脳神経保護作用機序に関して熱ストレス蛋白(HSP)を用いた検討を行うことである。昨年度までの研究で32℃の脳低温が海馬CA1領域におけるHSP発現の局在性変化をもたらすことを解明した。それはUbiquitinが錐体細胞の細胞質に発現し遅発性細胞壊死に関与すること、HSC73の核内での発現抑制によりapoptosisに抑制的に関与することなどである。本年度の研究ではこれらの結果を基に、蘇生時の低温治療環境の変化がどの程度HSPの発現に作用し脳保護作用を発揮するかを検討した。 方法1)体重30kgのブタを用い体外循環回路で低温処曝露(20℃)を行い低温循環停止モデルを作成した。このモデルを体外循環回路で急速復温し(36℃)自己循環を再開させ、ホルマリン固定脳標本を摘出した。2)30kgブタを用い常温(37℃)で20分間の循環停止(Vf)をおこし体外循環回路で急速低温導入(20℃)を行い、低温蘇生モデルを作成した。このモデルを体外循環回路で急速復温し(36℃)自己循環を再開させ、ホルマリン固定脳標本を摘出した。3)低温循環停止モデル、低温蘇生モデルのH-E染色によるCA1の細胞壊死の程度、HSPの発現局在の程度を比較し蘇生時の低温治療環境の脳神経保護作用への関与を検討した。 結果)低温循環停止モデルは低温蘇生モデルに比しCA1錐体細胞での細胞壊死が軽度であった。HSPによる検討は本実験モデルで採取した脳標本を用い平成15年度に詳細な検討を行うこととなっている。
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