2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本語版SDLRSを外的基準とする新尺度の開発と看護教育への応用
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14572202
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山内 まゆみ 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00322917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 紀子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20265094)
松浦 和代 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10161928)
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Keywords | 自己決定型学習 / 自己決定型学習のレディネス / 日本語版SDLRS / 臨地看護学実習 |
Research Abstract |
平成14年度研究課題として、臨地看護学実習が「自己決定型学習能力のレディネス」にもたらす効果について検討した。【目的】臨地看護学実習によって、看護学生の「自己決定型学習能力のレディネス」がどのように変化するかを、縦断的に把握した。【方法】1)対象:本学看護学科に4年生とした。2)方法:自記式質問紙法とした。調査内容は、(1)一般的背景、(2)自己決定型学習能力のレディネスであった。(2)の測定用具として、日本語版Self-Directed Learning Readiness Scale(日本語版SDLRS)を用いた。日本語版SDLRSは58項目からなる自記式質問紙であり、得点範囲は58〜290点である。得点が高いほど自己決定型学習のレディネスは高いと評価される。3)手続き:実習前調査は平成14年度実習開始直前の5月に、実習後調査は実習終了直後の11月に企画した。配布・回収は集合法とした。4)倫理的配慮:実習前調査時に、研究参加は自由である、2回の調査結果の照合はID番号による、中途辞退が可能である、成績評価とは無関係である、結果は全て統計的に処理されることを文書および口答で説明し、学生からの同意を得た。5)分析方法:対応のある得点差の検定にはWilcoxonの符号順位検定を、2群間の比較にはMann-WhitneyのU検定を用いた。【結果】1)回収率:56名に配布し、2回の調査協力が得られた数は52名(回収率92.9%)、有効回答数は49名(有効回収率87.5%)であった。2)一般的背景:平均年齢は21.32歳、男性1名・女性48名であった。3)日本語版SDLRS:平均得点は、実習前が193.3(SD 22.5)点、実習後が208.3(SD 26.3)点であった(P<0.001)。レディネス上昇群は42名(85.7%)、レディネス下降群は7名(14.3%)であった。レディネス上昇群の平均得点は、実習前が192.8(SD 20.6)点、実習後が211.1(SD 24.6)点であった。18.3点の上昇がみられた(P<0.001)。レディネス下降群の平均得点は、実習前が196.6(SD 33.5)点、実習後は191.6(SD 31.6)点であり5点の下降がみられた(P<0.05)。実習グループ(n=10)別に実習前後の平均得点を比較した結果、得点差が「10点未満」は2グループ、「10点以上20点未満は5グループ、「20点以上」は3グループであった。レディネス下降群7名中4名は「10点未満」のグループに属していた。【考察】実習によって看護学生の85%は自己決定型学習能力のレディネスを伸ばすことが把握された。自己決定型学習能力の修得は成人教育の主たる到達目標とされている。専門職者として自己決定型学習能力が高いことは重要であり、この観点から、実習は優れた学習方法と評価できる。また、日本語版SDLRSの得点をグループ間で経時的に比較した結果、グループダイナミクスは自己決定型学習能力のレディネスを促進あるいは抑制する要因となる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)