2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580008
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
矢野 道雄 京都産業大学, 文化学部, 教授 (40065868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 啓二 京都産業大学, 文化学部, 助教授 (60329927)
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Keywords | イスラーム科学 / インド / アリガル大学 / アル・ビールーニー / 写本 / アラビア語 / ラームプール |
Research Abstract |
インドにおけるイスラーム科学の原典研究は日本のみならず世界でも未開拓の領域であり、まず現地へ赴いて資料を収集する必要がある。今年度は本研究代表者矢野が公務で多忙だったので、研究分担者の山本がインドへ出張することになった。インドでは資料調査が可能になるまでの準備に相当の日数を要するのが通例であるが、矢野がこれまで培ってきた人脈により、山本は、まずインドにおけるイスラーム研究の中心であるAligarh Muslim Universityを訪問し、当大学におけるイスラーム科学史研究者として著名なS.M.R.Ansari教授の世話になった。当大学の図書館には貴重な写本が無数にあるが、その中でもとくに本研究にとってもっとも重要な資料であるアル・ビールーニー(Al-Biruni)の天文学書Qanun al-Mas'udiの所在を確認したので、数百フォリオの写本すべてをデジタルカメラで撮影することができた。 さらにAnsari教授の紹介により、ラームプール(Rampur)市のRampur Raza Libraryを訪問し、館長のW.H.Siddiqi氏の世話になることができた。ここにもまだ未調査の重要な資料が数多くあることを確認し、今後の調査に便宜を図っていただくことになった。 矢野と山本は持ち帰った資料の研究を開始した。とくに、Al-Biruniの『インド誌』と『星学入門』および上記Qanun al-Mas'udiは本研究にとってもっとも重要なものとして読みつづけている。 同時に関連資料を電子テキスト化して利用すると便利なので、これを本学出身でアラピア語を読むことのできる大田真和氏に依頼し、作業は着々と進行している。
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[Publications] Michio Yano: "La Cina ele zone limitrofe"Cina, India, Americhe, Storia Della Scienza, Encyclopedia Italiana. II. 269-275 (2002)
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[Publications] Michio Yano: "The First Equation Table for Mercury in the Huihuili"History of Oriental Astronomy, ed. by S.M.R.Ansari, Dordrecht. 論文集. 32-43 (2002)
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[Publications] Michio Yano: "Calendar, Astrology, and Astronomy"Blackwell Companion to Hinduism, ed. by G.Flood, London. 論文集. 376-392 (2003)
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[Publications] 山本啓二(訳書): "ギリシア思想とアラビア文化(デミトリ・グタス著)"勁草書房. 265 (2002)