2003 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の身体動作特性を考慮したキッチン空間のあり方に関する研究
Project/Area Number |
14580130
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
梁瀬 度子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (60031663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 志穂 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助手 (10351793)
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Keywords | 高齢者 / キッチン作業 / 収納作業 / 引出し式収納 / 重心移動 / 筋活動 / 収納満足度 |
Research Abstract |
昨年度は、高齢者に優しいキッチン設備の提案を行うことを目的として、キッチンでの様々な作業のうち、上肢を使う水洗作業及び棚への器物の収納などの作業における生理学的・動作学的倹討により高齢者の収納動作時における移動動作姿勢の特徴を把握するとともに、若年者との相違点を明らかにした。本年度は、アンケート調査により高齢者の好む収納設備を明らかにするとともに、市販の作業台下部の様々な収納設備を用いて収納作業を行わせた際の生理的負担を実験的に検討し、高齢者に優しいキッチンを提案する。 作業台下部の様々な設備(開き扉,引出し式扉,ドアポケット形式)についての収納作業測定結果から,新しい形式のドアポケット型収納は、立位の状態で余り体を動かさずに作業でき、重いものの収納には指に力が集中するという欠点はあるが、軽いものの収納には最も適していると考えられる。また、高齢者にとって負担の大きい膝より下の位置での収納作業においては、さっと取り出せる「引出し式」収納が従来の扉開閉式に比べて身体への負担が少なく、より有効な収納方式であることが明らかになった。この形式のものは、アンケート調査においても理想の設備のトップに挙げられており、より負担を軽くするために引出し幅を現在市販されている90cmを60cm以内に留めることにより、さらに高齢者に使いやすい設備として推奨される。しかし、床上15cmより低い位置では、膝をついての作業となり、姿勢の変換による上体のブレから重心軌跡の移動距離や変動幅が大きくなり、筋活動の面からもこの位置の収納スペースは高齢者には好ましくないことが明らかとなった。
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