2003 Fiscal Year Annual Research Report
酵母と細菌でパンを作る-伝統的な発酵食品中の微生物の働き-
Project/Area Number |
14580139
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長野 宏子 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40074984)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徹 岐阜大学, 生命科学総合実験センター, 助教授 (20235972)
粕谷 志郎 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (20021438)
|
Keywords | 伝統発酵食品 / 小麦粉 / 製パン性 / 酵母 / 細菌 / 低アレルゲン / タンパク質 |
Research Abstract |
パンをつくる微生物といえば市販のパン酵母をパン種に使い、野菜・果物種(スターター)を使うことが稀少となっている。しかし、現在でも、世界各地のパン製品中には酵母をはじめ、多種類の微生物の形態が観察され、製品中の小麦粉たんぱく質の低アレルゲン化が確認されている。 本研究の目的は伝統発酵食品由来のコラゲナーゼ様酵素を産生する微生物(Bacillus属)と酵母との混合培養による低アレルゲン化パン製造すること。つまり伝統発酵食品から分離している多種類の微生物を利用して小麦粉患者のオーダーメイドのパンつくりを目指すことである。また、ユニークな酵素の特徴を明らかにするとともに微生物Bacillus属の16SrRNAを用いて系統樹の樹立を行うことである。 今年度の研究実績は以下の通りである。(1)微生物Bacillus属の16S rRNAのシークエンスは終了し、98-99%のホモロジーをもっており、現在、系統樹の作業中である。(2)伝統的な小麦粉発酵食品から分離した微生物Bacillus属酵素をもちいてパンを作製した。Bacillus属3種類を酵母と併用することにより、小麦患者との抗原抗体反応では、バンドが消失していた。(3)国内産小麦粉を用いたパン中の塩可溶性画分タンパク質は、小麦患者血清との抗原抗体反応は、従来の外国産小麦粉を用いた場合より、バンドが消失していた。(4)伝統的な小麦粉発酵食品から分離した微生物Bacillus属酵素は、活性が強いため疎水性部分の分解がおこり、新たな抗原抗体反応部分(特に塩不溶性画分)も出てきたところもあり、さらに検討を深める必要がある。(5)2年間の成果は論文作成中である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 長野宏子, 説田佑子, 粕谷志郎: "伝統発酵食品中の微生物とその働き"日本家政学会誌. 54.9. 713-721 (2003)
-
[Publications] To Kim Anh, Hiroko NAGANO: "A SAFE COLLAGENASE FROM BACILLUS SUBTILS FS-2 AS A POTENTIAL TENDERIZER FOR COLLAGEN-RICH BEEF"8^<th> ASEAN Food Conference Proceedings. 2. 634-638 (2003)