2002 Fiscal Year Annual Research Report
離乳プロセスに伴う食物アレルギーの発症機序とその予防に関する超微形態学的研究
Project/Area Number |
14580155
|
Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
藤田 守 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (60037471)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 辰美 中村学園大学, 栄養科学部, 助教授 (40149646)
松隈 美紀 中村学園大学, 短期大学部・食物栄養科, 助手 (40259669)
馬場 良子 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (90271436)
藤本 淳 中村学園大学, 大学院・栄養科学研究科, 教授 (80080547)
山元 寅男 中村学園大学, 大学院・栄養科学研究科, 教授 (80037324)
|
Keywords | 乳飲期 / 離乳期 / 小腸 / 空腸 / 回腸 / 吸収上皮細胞 |
Research Abstract |
今年度は、正常な離乳プロセスを把握することを目的として実験を行った。離乳後を境に、小腸における消化吸収形態が大きく変化することから、小腸を上部(空腸)と下部(回腸)に分け、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いて、立体構築学的および超微形態学的に検索を行った。さらに高分子物質の取り込みを知る目的で、トレーサーを用いて細胞化学的検索を行った。その結果、乳飲期の小腸において、指状の細長い絨毛が密に観察されたが、離乳が近づくにつれて徐々に形態の変化が見られ、離乳後には低く、幅の広い絨毛に変化した。また、空腸において回腸より発達した絨毛が見られた。また、典型的な乳飲期の空腸吸収上皮細胞は、母乳中の抗体や高分子物質を細胞頂部より高分子のまま取りこみ、細胞内を通過(トランスサイトーシス)させる経路が存在した。一方、回腸では、吸収上皮細胞の核上部に巨大ライソゾームが存在し、管腔内の高分子物質を細胞頂部から取り込み、巨大ライソゾームに輸送し、貯蔵と細胞内消化を行っていることが分かった。しかし、空腸および回腸のそれらの高分子物質の吸収機構は、離乳が近づくにつれ、徐々に減少し、離乳前に完全に見られなくなった。吸収機構の変化については、空腸における変化が回腸よりも早く起こり、トランスサイトーシスの減少に続き、空腸における取り込みの減少、消失の順であった。回腸においては、吸収上皮細胞頂部のエンドサイトーシスに関与する膜系の減少と巨大ライソゾームの巨大化が見られ、それらの膜系における取り込みの減少、ついで、それらの構造を持った吸収上皮細胞の消失の順であった。離乳が近づくにつれ、吸収上皮細胞の吸収機構の変化も見られるが、絨毛表面を覆う乳飲期の吸収上皮細胞自体も減少し、それと同時に絨毛の形態も低く幅広く変化すると思われ、それらの細胞の絨毛先端部からの脱落は、陰窩で新生された成熟期と類似した吸収上皮細胞によって補われ、最終的にそれらの細胞で全て置き換えられると考えられた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 白石美恵, 馬場良子, 藤田守: "ラット乳腺における食物アレルゲンの乳汁移行に関する超微形態学的・免疫組織化学的研究"日本栄養食糧学会誌. 55・3. 157-163 (2002)
-
[Publications] Baba R., Fujita M., C.En Tein, Miyoshi M.: "Endocytosis by absorptive cells in the middle segment of the suckling rat small intestine"Anatomical Science International. 77・2. 117-123 (2002)
-
[Publications] 松隈美紀, 馬場良子, 藤田 守: "オレンジ果汁投与乳児期ラット小腸における食物性抗原の侵入経路に関する超微形態学的・細胞化学的研究"中村学園大学・中村学園大学短期大学部 研究紀要. 34. 227-283 (2002)
-
[Publications] 山田 愛, 馬場良子, 田中理恵, 藤田 守, 吉岡慶子: "イカ甲羅抽出カルシウムがラットに及ぼす影響"中村学園大学・中村学園大学短期大学部 研究紀要. 34. 295-301 (2002)