2004 Fiscal Year Annual Research Report
離乳プロセスに伴う食物アレルギーの発症機序とその予防に関する超微形態学的研究
Project/Area Number |
14580155
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
藤田 守 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (60037471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 良子 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (90271436)
林 辰美 中村学園大学, 栄養科学部, 助教授 (40149646)
藤本 淳 中村学園大学, 大学院, 教授 (80080547)
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Keywords | 乳飲期 / 離乳期 / 小腸 / 空腸 / 回腸 / 吸収上皮細胞 / 低アレルゲンミルク |
Research Abstract |
昨年度までの研究において、新生児期・乳飲期から離乳期にかけて、母乳栄養から人工栄養または離乳食に移行する過程(離乳プロセス)が食物アレルギーの発症に深く関与していることを解明しつつある。正常離乳プロセスに伴う、消化管上皮細胞の超微形態学的変化に関する種々の基礎的研究の結果、さらに母乳栄養から人工栄養に移行する過程に見られる消化管上皮細胞の形態学的変化に関する研究結果を基に、今年度は母乳栄養の延長と、さらに低アレルゲンミルクを用いた飼育を行い、どのような差異が見られるかについて検討を行った。 母乳栄養を延長した結果、正常離乳過程と同時期に、小腸吸収上皮細胞に同様の変化が見られたことから、ある一定期間以上母乳栄養を続けても、食物アレルギー発症予防の点からは、あまり大きな意味はないことが考えられる。また、早期から市販のヒト用低アレルゲンミルクを使用して飼育を行った結果、小腸の絨毛は短く、細くなった。高分子物質の取り込みに関しては、空腸吸収上皮細胞において、トランスサイトーシスが見られなくなり、エンドサイトーシスも減少し、絨毛頂部の吸収上皮細胞に限られるようになった。一方、回腸吸収上皮細胞においては、通常は絨毛全体の吸収上皮細胞の核上部に巨大ライソゾームが見られるが、この構造は絨毛頂部の吸収上皮細胞に限って見られるようになった。高分子物質の取り込みに関しては、回腸吸収上皮細胞の頂部への取り込みは見られたものの、巨大ライソゾーム内への取り込みは見られなくなった。人工乳投与実験においては、エンドサイトーシスに関与する膜系の消失は見られなかったが、低アレルゲンミルクではかなり減少し、高分子を取り込まない離乳後の吸収上皮細胞に類似した細胞が絨毛の大部分を占めるようになった。以上の結果から、早期に低アレルゲンミルクを投与すると、人工乳と比較し、絨毛の形態および吸収上皮細胞の吸収機構に差異が見られることが示唆された。
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Research Products
(3 results)