2002 Fiscal Year Annual Research Report
教育現場で使用できる雪の顕微鏡観察と人工雪生成実験
Project/Area Number |
14580187
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
香川 喜一郎 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (90115296)
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Keywords | 人工雪 / 寒剤 / 静電気 / タンポポの毛 |
Research Abstract |
前回使用した人工雪生成装置はスチロール容器とプラスチック容器を組み合わせて作った。しかし、この方法では周囲からの輻射熱を十分遮断できない。今回は魔法瓶を用い、その中に寒剤を入れ、その上に、帯電したプラスチックの板などを置いて結晶生成する方法を確立した。この方法で、実際熱帯地方でも人工雪が生成できることを、インドネシア国で実験し確認した。しかし、空調の完備した室内で、かつ室内の湿度を抑えて実験しなければならない。 本年度研究の最大の成果は、これまで紙やプラスチックの板などの表面にしか人工雪ができなかったものを、細い毛の上にまで人工雪が出来るよう発展させたことである。方法は、魔法瓶中の寒剤の上に、底を黒く塗った小さなプラスチックシャーレを置き、そのシャーレの中に、帯電させたタンポポの綿毛を置き、毛を-12℃から-15℃程度に冷却したところで、上部に水分を適当に含ませたティッシュペーパーを置き、水蒸気を上部より少しずつ供給する。水蒸気を送り始めてから、約数分でタンポポの綿毛に立体的、かつ非常に対照的な人工雪ができる。タンポポの綿毛の一本を70倍程度の顕微鏡で観察すると、毛の所々に鋭い尖ったトゲがあることが分かった。帯電した電荷がこの尖ったトゲに集まり、それが結晶成長の核になっていることも明らかにした。この成果をすぐ、日本雪氷学会誌に投稿し、15年1月号に掲載された。タンポポ以外の植物の細い毛を用いた実験も行なっているが、毛の特徴によってできる結晶に幾分傾向の差が認められる。しかし、結晶形の差は主に、温度と水蒸気の量に依存している。この研究によって初めて、極めて自然の雪に近い人工雪が簡単な装置を使ってできるようになった。
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Research Products
(1 results)