2004 Fiscal Year Annual Research Report
日英比較ジャンル分析:看護学論文に見る日本人のレトリック
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14580318
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Research Institution | Gunma Prefectual College of Health Science |
Principal Investigator |
渡邉 容子 群馬県立医療短期大学, 看護学部, 助教授 (40258885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園城寺 康子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (50057337)
後閑 容子 岐阜大学, 医学部, 教授 (50258878)
林 陸郎 群馬県立医療短期大学, 看護学部, 教授 (00156465)
佐々木 かほる 群馬県立医療短期大学, 看護学部, 教授 (60258879)
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Keywords | 起承転結 / 論文構成 / ジャンル分析 / 知の主張 / 研究の限界又は推奨 / 客観性 / 自然科学論文 |
Research Abstract |
1.英語論文作成過程における14名看護学研究者の「起承転結」意識調査結果は下記の通りであった。 (1)「英語論文作成時起承転結の考え方を取り入れるか?」の質問に対する回答-8名:「取り入れる」6名:「取り入れない」。 (2)1)「取り入れる理由」(延べ):「そのように教えられた」3名、「日英書き方は同じ」2名、「わかりやすい」2名、「臨場感をもつ物語的論文を書く故」1名。2)「取り入れない理由」:「序論・方法・結果・考察の構成だから」「読者のイメージを膨らませるためのもの」。「英語論文には「転」がない」等。 結果、研究者は英語論文作成の一般的な型である「序論・方法・結果・考察」と同等に「起承転結」を意識してい人がやや多かった。英語論文作成指導を行う場合伝統的な「起承転結」の発想の転換と論文の主張により修辞法を選ぶ指導が必要と推察された。 2.国内英語論文の動向(1997年と2001年の比較) (1)総論文数:146編。年間論文数21→36編。掲載誌数9→24誌。領域数7(医学系が主)→19領域(看護系が主)と増加した。 (3)ジャンル分析主な結果 ・抄録:「対象と方法」は全論文に存在した。「結果」は「説明的」なものと「統計的」なものに分かれた。 ・序論:「分野の確立・問題の一般化」を導入に用いる型が最も多かった。次に「疑問点の提示」、「研究の欠落提示」、「問題への反論」の順に続いた。「結果・構成提示」の型を用いた論文は見られなかった。 ・「考察・結果」:「結果-説明」→「主張」→「研究の限界又は推奨」の型が最も多かった。最近の傾向として医学系論文に見られる「研究の限界又は推奨」を後半に述べる論文が増加した。著者の主張は後半に集中する傾向があり「結果-説明」の型が最も多かった。総体的に看護系英語論文は自然科学論文に見られるより客観的な修辞法を用いる傾向に進んでいる事が窺われた。
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