2003 Fiscal Year Annual Research Report
種々の理系専門分野における日本語論文作成方法の指導に関する基礎的研究
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14580330
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村岡 貴子 大阪大学, 留学生センター, 教授 (30243744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深尾 百合子 東京農工大学, 留学生センター, 教授 (90272640)
仁科 喜久子 東京工業大学, 留学生センター, 教授 (40198479)
大谷 晋也 大阪大学, 留学生センター, 助教授 (50294137)
因 京子 九州大学, 留学生センター, 助教授 (60217239)
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Keywords | 理系分野 / 論文使用言語 / 留学生 / 漢字圏・非漢字圏 / 専門日本語教育 / 文章構造分析 / 緒言 / 専門日本語コミュニケーション |
Research Abstract |
本年度には、まず昨年度の理系学位論文使用言語調査の結果から、農学系、工学系、薬学系で日本語使用率が比較的高かったことから、その分野の留学生指導教官に留学生の研究上の使用言語についてインタビュー調査を行った。その結果、研究テーマや想定される読者、留学生の日本語能力と英語能力、および漢字圏か非漢字圏かの母語背景が、使用言語選択の要因になることが実証された。そこで、種々の背景の違いにより選択的な専門日本語学習が可能なデザインが必要であると考えた。 次に、上記の留学生指導教官から推薦された、日本語論文が掲載される学術雑誌から、工学系と農学系の5分野を対象に「緒言」を対象に文章構造の分析を行った。分野は、化学工学、機械工学、建築工学、作物学、園芸学である。各分野の論文合計100編の緒言部分について、言及内容のまとまりに注目しその構成要素を抽出した。その際、形式段落の位置を特定しながら構成要素の出現傾向を分野別に分析した。その結果、緒言文章は、主に「領域提示」「課題設定」「研究動向提示」「論文概要紹介」の4構成要素から成り立ち、上記全分野で多く見られた。3段落、4段落構成の緒言では、各構成要素の段落ごとの出現傾向と流れに共通性が認められた。 最後に、理系大学院留学生の学習・研究活動の環境と、必要な日本語によるコミュニケーションの状況と問題点を知るために、7人の大学院留学生に、大学院入学後の6ヶ月の間に各々4回インタビュー調査を行った。調査の結果、専門日本語によるコミュニケーションが必要な場面を、授業、研究室、研究相談の3場面に分け、必要な技能や具体的な対応等について言及した。次に、研究室コミュニティの活用が重要であることを述べ、また相手や場面による口頭表現でのコミュニケーションが困難であることを指摘した。さらに大学院入学以前に留学生が学習課題を特定する必要性についても指摘した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 村岡貴子, 大谷晋也, 仁科喜久子, 深尾百合子, 因京子, 米田由喜代: "種々の理系分野における学会誌使用言語事情と留学生の論文使用言語 -日本語論文作成指導のための基礎研究-"2003年度日本語教育学会秋季大会予稿集. 107-112 (2003)
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[Publications] 村岡貴子: "日本の理系大学院で学ぶ留学生の専門日本語コミュニケーション"社会言語科学. 第6巻第1号. 99-111 (2003)
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[Publications] 村岡貴子, 米田由喜代, 大谷晋也, 因京子, 深尾百合子, 仁科喜久子: "工学系および農学系日本語論文「緒言」の文章構造分析"第6回専門日本語教育研究会研究討論会発表要旨集. 10 (2004)