2005 Fiscal Year Annual Research Report
種々の理系専門分野における日本語論文作成方法の指導に関する基礎的研究
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14580330
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村岡 貴子 大阪大学, 留学生センター, 教授 (30243744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 晋也 大阪大学, 留学生センター, 助教授 (50294137)
仁科 喜久子 東京工業大学, 留学生センター, 教授 (40198479)
深尾 百合子 東京農工大学, 留学生センター, 教授 (90272640)
因 京子 九州大学, 留学生センター, 助教授 (60217239)
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Keywords | 理系分野 / 留学生 / 専門日本語教育 / 文章構造分析 / 緒言部 / 結論部 / 論理展開 / 構成要素 |
Research Abstract |
本年度には、前年度の研究に引き続き、農学系と工学系の留学生指導教員より研究遂行上重要であると推薦された6学術雑誌の日本語論文の緒言部の文章構造に注目し、各文章の構成要素を、形式段落によって位置を特定しながら抽出し、その構成要素の出現傾向と論理展開の様相、および表現を分析してまとめた。これは、理系研究留学生に対し、論文作成に必要な論理展開と表現についての知識を迅速に獲得させるために、当該留学生の最も関心の深い分野の典型的な論文を集約的に直接的モデルとして提示するためである。 次に、当該論文の結論部を対象に文章構造を分析し、構成要素を認定した上で論理展開パターンを調べ、そこでの有用な表現を抽出した。論文の結論部では、緒言部で示された研究課題とその成果を、内容の整合性を保った適切な表現で示す必要があることから、筆者らが既に分析した当該論文の緒言部と比較対照して、緒言部と結論部との呼応的関係を示す表現も分析した。分析の結果、「論文概要再提示」「成果提示」「今後の課題と展望」の3要素が認められ、それらに基づいて論理展開の様相を記述した。「成果提示」には、箇条書きが多く見られ、その直前に「以下の結論を得た」といったメタ表現が現れやすいことも明らかとなった。 さらに、緒言部と結論部の呼応的関係の存在を前提に、各々目的の異なる2セクションの文章を比較し、表現の類似性についても分析を行った。この結果、2セクションの呼応的関係は3つのパターンに分類可能であり、内容的に緒言部の「論文概要紹介」が結論部の「論文概要再提示」にほぼ相当するパターンが7割以上を占め典型的であることがわかった。 最後に、本研究で得た知見をもとに、学習者用の多読に資する素材収集と、それを有効に活用しうる表現や論理展開等の簡潔な解説を伴ったリソースの必要性をまとめた。
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Research Products
(3 results)