2003 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉法を用いた哺乳動物における時期特異的ノックアウト法の開発
Project/Area Number |
14580798
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Research Institution | Shiga university of medical science |
Principal Investigator |
高田 達之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助教授 (90206756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00110560)
鳥居 隆三 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 教授 (50106647)
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Keywords | RNA干渉法 / ノックアウト / ノックダウン / ES細胞 |
Research Abstract |
本年度は受精卵へのsiRNAの導入を試みた。一過性の効果であるというsiRNAの特徴を最大限に活用し、受精卵、特に胚盤胞期胚への導入を試みた。すなわち蛍光蛋白質GFP発現マウスから胚盤胞期胚を採取し、プラスミドの導入で効果が認められた種々の方法(インジェクション、トランスフェクション試薬など)を用いてGFP特異的siRNAの導入を行い、GFP蛍光の強度変化を観察した。その結果、一部の胚ではGFP蛍光の低下が認められたが、効果が認められない胚も存在し、その後の解析が複雑になると予想された。 そこで発生過程において胚盤胞期胚とほぼ同時期であり、個体を作出することが可能なES細胞を使用して、siRNAの導入を試みた。 siRNAの導入条件の検討、及びその遺伝子抑制効果を容易に調べるため、GFP発現マウスES細胞を使用し、GFPの発現抑制を試みた。 その結果、非常に効率よくsiRNAを導入し、GFP発現を抑制することができる条件を確立することができた。すなわち、siRNAの導入後、24時間後にはその発現抑制が明らかとなり、48時間後にはほぼ100%の細胞で蛍光は観察されずGFPの発現が抑制されていることがわかった。さらにこの効果は5日間にわたって継続し、その後徐々に発現が回復していることが明らかとなった。またmRNAの発現をRT-PCRにより調べた結果24,48時間後にかなり低下し、その後徐々に元のレベルに戻っていくこともわかった。 以上のように本研究の結果、ES細胞においてsiRNAを用いて非常に効率よく特定遺伝子を一過性に抑制する技術が開発できた。 今回開発した方法により、今後siRNAを導入したES細胞と、4倍体胚盤胞、または桑実胚を使用することにより、哺乳動物の器官形成期において特異的な遺伝子を抑制する時期特異的ノックアウト・ノックダウン法が可能となると考えられる。
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[Publications] 高田達之, 成田純子, 鳥居隆三: "カニクイザル体細胞を用いたクローン胚作製"遺伝子医学-Gene and Medicine. 7・2. 112-115 (2003)
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[Publications] Narita J, Takada T, Torii R: "cynomolgus monkey blastcysts produced by nuclear transfer using amniotic epithelial cells"Theriogenology. 59. 276-276 (2003)