2002 Fiscal Year Annual Research Report
組織工学的手法を用いた分化誘導型バイオ人工肝臓の開発
Project/Area Number |
14580809
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三好 浩稔 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70292547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎮西 敬子(大川) 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30251052)
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
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Keywords | 肝細胞 / 胎仔肝臓細胞 / ブタ胎仔肝臓細胞 / 三次元培養 / 灌流培養 / 多孔質樹脂 / 充填層型リアクター / ティッシュ・エンジニアリング |
Research Abstract |
本研究では、培養系内で分化させた胎仔肝臓細胞をバイオ人工肝臓に応用することを目的として、多孔質のpolyvinyl formal (PVF)樹脂を担体とする胎仔肝臓細胞の三次元培養を行った。この担体を充填した充填層型リアクターを用いた胎仔肝臓細胞の灌流培養を行い、細胞数や活性の維持に及ぼす潅流速度の影響について検討した。細胞には、マウスとブタの胎仔肝臓細胞を用い、細胞種の違いによる影響についてもあわせて検討した。 まず、マウス胎仔肝臓細胞を用いた場合には、灌流速度を成熟肝細胞と同等の流速(空塔線速度4.8cm/min)で培養すると細胞数やアルブミン分泌能は急激に低下し、培養1週間で活性は認められなくなった。培地の潅流速度を1/10(空塔線速度0.48cm/min)に低下したところ、アルブミン分泌能は20日以上維持されたものの活性は増加せず、細胞数も減少した。一方、ブタ胎仔肝臓細胞については、灌流培地の空塔線速度を0.96cm/minから0.48cm/minへと低下させることで細胞数の減少は大幅に抑制され、40日以上培養したのちにも初期の細胞の約70%が維持されていた。また、このとき、細胞のアルブミン分泌能は比較的良好に保たれ、培養20日以降には静置培養した細胞よりも高い活性が得られた。 以上の結果から、培地の灌流が細胞数や活性の維持に及ぼす影響は細胞種によってかなり異なっており、今回検討した中ではブタ胎仔肝臓細胞が流れに対する耐性が高いことがわかった。また、これらの結果を速度論的に解析したところ、マウスの細胞では灌流速度を下げても細胞は増殖しないのに対して、ブタの場合には0.32cm/min以下の潅流速度に設定することにより、リアクター内部で細胞を増殖できることがわかった。 以上の結果から、ブタ胎仔肝臓細胞を用いた充填層型バイオ人工肝臓が開発できる可能性が示された。
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[Publications] 大島宣雄, 三好浩稔: "バイオ人工臓器の開発と再生医工学"化学工業. 54(1). 42-46 (2003)
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[Publications] H Miyoshi, T Ehashi, N Ohshima: "Long-term three-dimensional culture of fetal liver cells to achieve prolonged metabolic functions"Tissue Enineering for Therapeutic Use 6 (Eds.) Y Ikada, Y Umakoshi, T Hotta. 75-81 (2002)