2004 Fiscal Year Annual Research Report
不妊および不育症夫婦における性役割意識の変化とセクシュアリティ
Project/Area Number |
14594004
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐山 光子 新潟大学, 医学部, 教授 (50149184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵頭 慶子 新潟大学, 医学部, 助教授 (50228756)
杉原 名穂子 新潟大学, 人文学部, 助教授 (00251687)
定方 美恵子 新潟大学, 医学部, 講師 (00179532)
石田 真由美 新潟大学, 医学部, 助手 (40361894)
佐藤 悦 新潟大学, 医学部, 助手 (20169410)
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Keywords | 不妊治療 / 不育症 / 不妊症 / 夫婦 / ジェンダー / セクシュアリティ / 不妊看護 / 質的研究 |
Research Abstract |
1.「不妊治療の夫婦関係モデル」の検証: これまでの研究結果から、不妊・不育症夫婦の性役割意識変化とセクシュアリティをめぐって「子どもの希求度」「性交の目的」「性機能と身体侵襲」「治療に伴う調整役割」を構成概念とするモデルが導かれた。今年度は妥当性を評価し、不妊相談への適用と活用の可能性をめざして研究を行った。 (1)面接によるモデル評価: 面接時にモデルを提示し意見を聴取。そのなかで不妊治療が女性に割り当てる「調整役割」(性周期と性交の調整、治療時の家事育児の調整、仕事や職場の調整等のさまざまな体験)に関するストレスや負担感は男女で、また夫婦の関係性によって異なり、治療経過によっても変化することが推察された。これらの面接所見は、本研究課題における不妊相談や支援に役立つモデル構築に向けて、研究の方向性を示した。 (2)選択的対象による新たな視点: 女性側不妊が主であった視点から、ジェンダー分析のために男性側不妊に焦点をあてた面接調査を開始。対象者は無精子症の不妊治療手術によって子どもを得た夫婦2組とともに、2000年に調査した男性不妊因子の夫婦5組の面接逐語録を加えて分析データとした。結果から、男性不妊の場合はモデルに包摂されず別の局面をもつことが示唆された。夫婦の関係性のなかで妻は夫の「代理人」「引率者」と表現され、「生殖のための性交」概念を否定する言明があった。これらはモデル構築に向けて新たな視点を提供し、今後の課題を示した。 2.夫婦同席面接の問題点: 倫理的手続きを経て十分な説明と同意のもとで夫婦同席面接を実施。しかし、同席面接は、対象によっては夫婦双方の心理的苦痛が大きく、その影響が危惧されたため、計画を中止、変更した。 3.心身の評価とケア: 東洋医学的な観点から不妊治療と女性の「氣」の流れに注目し、測定・診断・ケアのための実践フィールドとして「女性のこころとからだ専門相談」を開設した。
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