2002 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダーの視点から見た障害者の自立と親の自立に関する社会学的研究
Project/Area Number |
14594014
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
要田 洋江 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (90117987)
|
Keywords | ジェンダー / 子育て / 知的障害者の自立 / 障害児の母親 / 障害児の父親 / 障害者福祉制度 / 思春期の親子関係 / 自立期の親子関係 |
Research Abstract |
(1)事例調査:知的障害を持つ自閉症児の母親に、これまでの障害児をめぐるライフヒストリーを自由に語ってもらう手法で面接調査を行った。親のこれまでの「語り」を検討すると、以下の点が注目される。子育てに関連して、(1)母親の子育ての苦労は、子どもと高度なコミュニケーション方法を手に入れた(発見した)ことにより大きく変化する。(2)学齢期の子育ては主に学校教師との関わりが中心となる。母親の苦労は、地域の普通学校側の十分な支援により軽減される。その時期のきょうだいの関わりも重要である。(3)それに対し、乳児期、幼児期、学齢期での父親の存在は非常に薄い。(4)しかし、成人期以降は、父親の存在が障害者にとって、母親に代わり愛着の対象となり、重要となる。母親からの分離の表れとも推察される。子どもの障害については、(1)知的障害に関する「常識(思いこみ)」が障害の理解を妨げ、周囲の自閉症への理解が進むまで(親自身も経験により学習するのだが)周囲の人々から、とりわけ専門家から親の障害に対する理解のなさと曲解されるなど、トラブルを抱える。(2)相互作用から見た障害は多様であり、制度が認定した障害の程度と、現実生活の障害の重さとは一致しない。 (2)文献研究:日本の障害者福祉制度における障害の概念や定義、およびサービスのありようについて、アメリカ障害者福祉制度の発展、イギリス障害者福祉制度の発展との比較において、日本の障害者政策の問題と課題に関する文献研究を行った。
|
Research Products
(1 results)