2004 Fiscal Year Annual Research Report
HIVgp120結合タンパク質アクチノヒビンの結合糖鎖の解析
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14771313
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
千葉 春美 北里大学, 薬学部, 助手 (90276163)
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Keywords | anti-HIV / Lectin / high mannose oliogosaccharide / glycoside cluster effect |
Research Abstract |
これまでにELISA法にてアクチノヒビン(AH)がHIV gp120上の高マンノース型糖鎖(HM)に結合すること、両者の結合がHMに含まれるα(1-2)結合マンノース(Man)によって阻害されることを報告した。本年度は、gp120発現細胞より調製したgp120を各種糖鎖切断酵素処理し、AHとの結合性を分子間相互作用解析装置(IAsys)で測定した。その結果、gp120をendo Hや1,2α-mannosidaseで処理することでAHとの結合性が失われることから、AHはgp120のHMに存在するα(1-2)結合Manを認識することが明らかとなった。AHのgp120との親和性について速度論的解析を行った結果、K_D=3.4×10^<-8>Mと非常に高い親和性を示した。一方、分子中に1つしかHMを持たないRNaseBに対してAHは結合性を示さなかった。フロンタルアフィニティークロマトグラフィー(FAC)によりフリーの糖鎖(α(1-2)mannobiose及びMan9)との親和性を解析した結果、AHとこれらの糖鎖との親和性はそれぞれK_D=5.8×10^<-4>および3.9×10^<-4>Mとなり、gp120との親和性に比べて非常に弱い結果となった。AHはその推定立体構造から3つの糖鎖結合部位を持つと考えられ、その1つを不活性化した変異体AHのフリー糖鎖に対する親和性をFACで測定した結果、K_D=4.5×10^<-4>Mとなり、ネイティブのAHとほぼ同程度であった。一方、変異体AHとgp120の親和性をELISA法で測定するとその結合率は1/10程度に減少した。以上の結果から、AHが持つ3つの糖鎖結合部位に糖タンパク質(GP)上の複数のHMが同時に結合することでクラスター効果が生じることが示唆された。生体内においては、gp120のように多数のHMをもつGPは数少なく、AHはHIVに選択的な感染予防薬となりうると考えられた。
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