2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15002004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 孝雄 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80127092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 雅彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70260346)
石井 聡 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10300815)
横溝 岳彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60302840)
田口 良 東京大学, 大学院・医学系研究科, 寄付講座教員(常勤形態) (20080210)
魚住 尚紀 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70313096)
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Keywords | 脂質メディエーター / ロイコトリエン / 血小板活性化因子 / ホスホリパーゼA2 / Gタンパク共役型受容体 / 遺伝子欠損マウス / メタボローム / 質量分析計 |
Research Abstract |
1.脂質メディエーターに関する研究 (1)産生酵素の研究 脂質メディエーター産生の鍵を握るホスホリパーゼA2に関して、特に細胞質に存在するcPLA2(cytosolic phospholipase A2)に焦点を絞り、研究を展開した。cPLA2α欠損マウスの解析を進め、本酵素産物が、神経可塑性、生殖機能に関与することを明らかとした。また、コラーゲン誘発性関節炎に関与することを明らかとした。多くの製薬研究所に対して、本酵素の測定システムと遺伝子を提供し、阻害剤の開発を支援している。さらに、cPLA2αのアイソザイムとして細胞質に存在するβに数個の類似遺伝子が存在し、αと同様にCa依存的に活性化されることを明らかとした。 (2)受容体の研究 脂質メディエーターをリガンドとすると思われる各種のオーファン受容体を安定的に発現する細胞株を樹立し、カルシウム、レポーター遺伝子発現などを指標に天然脂質リガンドを探索した。この結果、p2y9/GPR23という受容体がリゾホスファチジン酸(LPA)をリガンドとすることを証明した。ロイコトリエンB4の第一、第二受容体欠損マウスを作製し、その表現型を解析している。ロイコトリエンB4はBLT1(第一受容体)を介して、好中球などの自然免疫細胞を遊走するだけでなく、T細胞の機能を調節していることが明らかとなった。BLT1の分子解剖の実験より、本受容体はロドプシンの結晶構造で明らかになったように、第7膜貫通領域の外側で細胞質内ドメインの近位部にαヘリックス構造があり、膜へ結合し、三量体Gタンパクとの共役を調節する部位であることを明らかにした。PAFは血小板活性化のみならず、多彩な作用を営むことが知られているが、小脳顆粒細胞の遊走と分化に関わり、また、その受容体欠損マウスは緑膿菌感染にはむしろ抵抗性を示し、また、虚血再灌流障害、卵巣摘出後の骨粗鬆症などではいずれも著明な改善を認めた。 2.脂質メタボロームの研究 ホスホリパーゼA2などの酵素反応の基質と産物を細胞レベル、個体レベルで系統的に解析し、刺激に応じた脂質組成の変化を解析することが本研究の一つの目的である。本年度は、質量分析で得られたデータからのリン脂質同定解析ツールをホームページで2003年11月末に公開した(http://133.11.203.146/)。本検索ツールは既存の脂質データベースとのリンクを可能としており、汎用性が高いものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tashiro, S., Sumi, T., Uozumi, N., Shimizu.T., Nakamura, T: "B-myb-dependent regulation of c-myc expression by cytosolic phospholipase A2"Journal of Biological Chemistry. 279(印刷中). (2004)
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[Publications] Okuno, T., Ago, H., Terawaki, K, Miyano, M., Shimizu, T., Yokomizo T.: "Helix 8 of the leukotriene B4 receptor is required for the conformational change to the low-affinity state after G-protein activation"Journal of Biological Chemistry. 278. 41500-41509 (2003)
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[Publications] Weijer, S., Leemans, J.C., Florquin, S., Shimizu, T., Ishii, S.: "Host response of platelet-activating factor receptor-deficient mice during pulmonary tuberculosis"Immunology. 109. 552-556 (2003)
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[Publications] Yamauchi, T.et al.: "Cloning of adiponectin receptors that mediate antidiabetic metabolic effects"Nature. 423. 762-768 (2003)
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[Publications] Hegen, M., Shimizu T., Clark D.J.: "Cytosolic phospholipase A2α deficient mice are resistant to collagen-induced arthritis"Journal of Experimental Medicine. 197. 1297-1302 (2003)
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[Publications] Noguchi, K., Ishii, S., Shimizu, T.: "Identification of p2y9/GPR23 as a Novel G Protein-Coupled Receptor for Lysophosphatidic Acid, Structurally Distant from the Edg Family"Journal of Biological Chemistry. 278. 25600-25606 (2003)