2003 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質及びカベオラによるミクログリアの機能調節機構の解明-神経疾患からのレッスン
Project/Area Number |
15040221
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
武藤 多津郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (60190857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 紘子 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (20148258)
澤田 誠 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (10187297)
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Keywords | アルツハイマー病 / プレセニリン1 / グルコシルセラミド / ガングリオシド / 神経成長因子 / γ-セクレターゼ / シグナル伝達 / ナロシン燐酸化 |
Research Abstract |
初年度である本年度は、現在大きな社会問題となっている老年痴呆特にアルツハイマー病(Alz)に焦点を絞りその病態形成に於ける糖脂質及びカベオラの役割の解明を神経系細胞の培養系で先ず検討した。家族性本症FADの原因遺伝子であるプレセニリン1(PS1)の野生型及び変異型(I143T)cDNAを強制発現させたヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞のstable transfectantを作成し、その脂質分析を行い変異PS1の存在が及ぼす脂質への影響を調べた。その結果、1)変異型PS1を発現する細胞では、ガングリオシド合成が著明に抑制されていた、2)このガングリオシド合成抑制はグルコシルセラミド(GlcCer)の合成抑制が主因であること、3)GlcCer合成低下はその合成酵素であるグルコシルセラミド合成酵素タンパク(GCS)の減少が主因でありRT-PCRで見る限りそのmRNA産生には異常はないと考えられること、4)野生型及びMockではGCSはゴルジに存在したが、変異型では核画分に分布していた、5)変異型細胞では、酸化ストレスに他の細胞に比し極めて高い脆弱性を示すこと、6)変異型細胞に発現する神経成長因子受容体のTrkの発現レベルは他の細胞系と変わらなかったが、リガンドに対する反応性は消失していたことなどを明らかにしカベオラ機能にも大きな影響を与えている可能性を明らかにした。現在この知見は論文製作中である。さらに、ミクログリアについても神経保護的・神経障害的両サブタイプで脂質組成を同様に調べた結果、両者で極めて顕著な脂質組成の差異が明らかになった。次年度はこの点をさらに追及すると共に神経細胞-ミクログリア間の相互作用に及ぼす糖脂質の影響を明らかにすることを通じ本疾患の新規治療法を開発したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakagami H., Mutoh T., Kumano T., Kuriyama M: "Tyrosine phosphorylation of the catalytic submit p110 of phosphatidylinositol-3 kinaze induced by MHG-CoA reductase inhibitor in L6 myobluets"FEBS Lett. 508. 53-56 (2001)
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[Publications] Hirayama M., Mutoh T., Tokuda A: "Acid hydrolase activity of cultured bovine oligodendrocyte"Neurochem Res.. 26. 121-124 (2001)
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[Publications] Mutoh T: "Biological inplication of the membrane rafts in neuronal cells."Trends in Glycoconj Glycosci. 13. 291-299 (2001)
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[Publications] Mutoh T., Hamano T., Tokuda A., Yano S., Kuriyama M: "Stable transfection of GMi synthase gene into GMi-deficient NG 108-15 cell, CK 72 cells, regwe the responsiveness of Trk-neurotrophin receptorts to …"Neurochem Res.. 27. 801-806 (2002)
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[Publications] Hamano T., Mutoh T., Hirayama M., Kawamura T., Nagata T., Fujiyama T: "MRI findings of x-linked spinal and muscular atrophy"J Neurol Sci. (in press).
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[Publications] 武藤多津郎, 山本紘子: "γ-セクレターゼ糖脂質"蛋白質・核酸・酵素. (in press).