2004 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞における性決定と雄性生殖幹細胞の増殖・分化メカニズム
Project/Area Number |
15080207
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡部 勝 大阪大学, 遺伝情報実験センター, 教授 (30089875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓬田 健太郎 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (90283803)
伊川 正人 大阪大学, 微生物研究所, 助教授 (20304066)
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Keywords | 生殖細胞 / 性決定 / エピジェネティック / ゲノミックインプリンティング / 雌雄キメラ / c-kit / 生殖幹細胞 / 分化制御 |
Research Abstract |
1)未分化状態の生殖細胞の性決定は必ずしも性染色体の組み合わせ通りにはいかず、周りの環境に依存していることが報告されていた。そこで、我々は遺伝子の配列に関係なく起こるエピジェネティックな現象として知られている精子と卵子で全く異なっているゲノミックインプリンティングの獲得は性染色体の組み合わせに依存するのか?それとも、周りの環境に依存しているのか?を調べようと試みた。 我々はX染色体上にGFP遺伝子が導入された雄マウスを用いることで、初期胚の段階で雌雄を判別し、雌胚と雄胚を集合させて雌雄キメラマウスを作製した。この雌雄キメラでは雌由来の細胞をGFPによって標識しているために、容易に追跡することができる。 雌由来生殖細胞は雌雄キメラの精巣環境において精子にまで成熟することはなかったが、Y染色体を持っていないにもかかわらず、父型のインプリンティングを獲得した精子側の細胞に分化した。一方、同じ精巣内で一部の雌由来生殖細胞は父型の刷り込みを受けた雌由来生殖細胞とは違う細胞集団として、卵子特異的な構造である透明帯を持ち、精子と融合できる卵子に分化し、不完全ではあるが母型のインプリンティングを獲得していることが分かった。これらの結果から生殖細胞は一度、性が決まるとその後の分化は環境の影響をあまり受けずに進むことが示された。 2)マウス生殖幹細胞の自己保存と分化の制御に、c-kitとkit-ligandが関わることを明らかにした。c-kitは、これまで分化マーカーとされてきたが、未分化状態ですでに細胞質内に存在しており、その糖鎖修飾により未分化型と分化型があることを突き止めた。この未分化型の糖鎖修飾はES細胞でも保存されていた。この未分化型c-kitと分泌型kit-ligandが相互作用すると未分化性が維持され、膜型kit-ligandとの相互作用により分化へと進む事が示された。
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Research Products
(8 results)