2006 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞における性決定と雄性生殖幹細胞の増殖・分化メカニズム
Project/Area Number |
15080207
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡部 勝 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30089875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊川 正人 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (20304066)
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Keywords | 性分化 / マウス / キメラ / 精原細胞 / インプリント |
Research Abstract |
性染色体であるX染色体上にGFP遺伝子が挿入されたマウスを用い、着床前の初期胚の段階で簡単に性の分別ができる系を確立しており、この系を応用することにより雌胚と雄胚を集合させてセックスキメラ胚を作製した。こうしてできた見た目が「雄」マウスのキメラ精巣内において、遺伝子型がXXの「雌」由来生殖細胞の性の分化の仕組みを探ったところ、大半のXX細胞に「雄」のエピジェネティックなマークが入ることを明らかにした。しかし、これらは誕生後に消滅してしまった。そこで、野生型の精原細胞との違いを探るために、遺伝子発現を比較したところ明らかに発現が異なる複数の遺伝子を見つけた。これらの遺伝子の多くはXX型の精原細胞に特異的に発現しており、野生型(XY型)ではほとんど発現していなかった。更にこれらの遺伝子群はXX型と同様の表現型を示すXXY型精巣においても過剰に発現していることを見つけた。以上の結果から、精原細胞の増殖が停止するのはY染色体の有無ではなく、X染色体上の遺伝子や同定した遺伝子群が関与しているためであることを示唆した。 性分化は、従来生殖巣の分化が始まりであるというのが大方の捉え方であった。しかし我々の性分別システムを用い着床前の胚の遺伝子発現を雌雄で比べると、様々な違いが生じていることが分かった。その中でRhox5遺伝子は父親由来のX染色体のみから発現するインプリント遺伝子であることを示した。また、発現パターンを詳しく調べ、既に8細胞期という早い段階から雌雄差を示すこと、着床後は母親由来のX染色体からの発現に切り替わる非常に珍しい発現パターンを示す遺伝子であることを明らかにした。更に、Rhox5のみでなく、他にも雌で過剰に発現する新規インプリント遺伝子のクラスターをX染色体上に見つけ、性分化とエピジェネティクスの関連を示唆した。
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Research Products
(6 results)