2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ領域イメージングを用いた血管内皮細胞の焦点接着斑の力学応答ダイナミクス
Project/Area Number |
15086203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 正明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂元 尚哉 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20361115)
出口 真次 岡山大学, 工学部, 助手 (30379713)
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Keywords | 焦点接着斑 / アクチンフィラメント / せん断応力 / 微小管 / 葉状仮足 / 伸展刺激 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
内皮細胞の形態変化の際に生じる焦点接着斑の配置の変化に対する細胞底面部のアクチンフィラメントの役割を明らかにすることを目指して,予めRFP/FATおよびGFP/アクチンのベクターを遺伝子導入したウシ大動脈由来内皮細胞を用いて,主として流れによるせん断応力の力学刺激を負荷した.FATおよび焦点接着斑に結合している細胞底面付近の細胞骨格に注目し,近接場光を用いて動的な挙動を観察した.また,細胞骨格の成分でもあるマイクロチューブルの働きにも注目し,その役割を抑制するノコダゾールを投与した際の応答についても検討した.その結果,次の結論が得られた. 1.内皮細胞が配向するためには,流れの方向に対して傾きをもつアクチンフィラメントの収縮と脱重合,上流および下流方向への葉状仮足の発達が必須である. 2.次の順に従う葉状仮足の発達の機構が考えられた. (1)葉状仮足発達方向への微小管の発達,(2)微小管発達部位における焦点接着斑の出現,(3)出現した焦点接着斑間におけるアクチンフィラメントの発達 3.形態変化メカニズムや葉状仮足発達メカニズムは同一の機構であり,せん断応力を負荷した場合は形態変化に方向性が生じるだけであることが示唆された. 4.FAK (focal adhesion kinase)がアクチンフィラメントともインテグリンとも構造的に直接連結していない可能性が示唆され,焦点接着斑の新しいモデルを提案すべく,今後同様の実験を継続していくこととした. その他,不均質なひずみ場を形成するシリコーン膜を成形して,膜上で内皮細胞を培養し,伸展刺激を負荷した.同一細胞内でもひずみの大きい箇所で最初にアクチンフィラメントの発達がみられるとともに核の高ひずみ側への偏移を観察した.今後このメカニズムについても検討することとした.
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Research Products
(9 results)