2004 Fiscal Year Annual Research Report
紙素材文化(文書・典籍・聖教・絵図)の年代推定に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15200058
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
富田 正弘 富山大学, 人文学部, 教授 (50227625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 邦彦 京都府立大学, 文学部, 教授 (60108363)
綾村 宏 奈良文化財研究所, 歴史遺産研究部, 部長 (20000507)
永村 眞 日本女子大学, 文学部, 教授 (40107470)
藤井 譲治 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40093306)
大藤 修 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20110075)
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Keywords | 紙素材文化財料紙 / 文書・典籍・聖教・絵図 / 東寺百合文書 / 大徳寺文書 / 上杉家文書 / 彦根藩井伊家文書 / 杉原紙・奉書紙 / 強杉原・美濃紙 |
Research Abstract |
本研究は、年紀不記載の紙素材文化財(文書・典籍・聖教・絵図)の年代推定を、料紙を観察することによって行う方法を探究することにある。平成15年度には、杉原紙とは、さほど上質でない楮の繊維に多くの米粉を填料と加えるごとによって、白くて柔らかい紙に仕立てたものではないか、という一定の見通しを得ることができた。平成16年度は、その成果を受けて、杉原紙系統の紙の中世から近世への展開を重点的に調査してみた。そのため、まず、8月に高知県紙産業技術センターにメンバーを集め、米粉や白土を填料とした楮紙や斐紙の製作実験を行い、その分量の相違によって、紙の風合いがどのように変わるか確かめてみた。そこで、われわれは米粉を含む紙についての共通認識を持つことができた。文書等料紙原本の調査は、中世の東寺百合文書・大徳寺文書、中世から近世への過渡期のものとしては上杉家文書、近世では彦根藩井伊家文書の調査を行い、約5千データほどの調書取った。調査データはすべてコンピュータ入力を終えた。その結果、中世から近世へ展開した文書等の料紙は、米粉に注目して分類すると、米粉を多く含む杉原紙・奉書紙系統の紙、米粉の含まないが良質である引合や大鷹檀紙、同じく米粉の含まないが不純物の多い強杉原・美濃紙の3系統があることが、わかってきた。来年度は、その変化の段階をより細かに確定していく作業を進めていきたい。つぎに、平成17年度に予定している中国古文書料紙との比較研究であるが、中国国家社会科学院の所蔵する明・清代の古文書調査を予定しているが、16年度には、この調査に備えて海外共同研究者の劉曉峰から中国古文書の伝存状況について報告を受け、調査の計画を立てた。中国紙と和紙との製作技術の相互交流があったのか、なかったのか、解明してみたい。
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Research Products
(7 results)