2006 Fiscal Year Annual Research Report
経済倫理の諸伝統の比較研究-日本版経済倫理の確立を目指して
Project/Area Number |
15202001
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
杉田 正樹 関東学院大学, 人間環境学部, 教授 (70130937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 尚武 鳥取環境大学, 大学院環境情報学研究科, 教授 (10011305)
竹内 整一 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (80107515)
沖田 行司 同志社大学, 社会学部, 教授 (20131287)
香川 知晶 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (70224342)
篠澤 和久 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (20211956)
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Keywords | ビジネス・エシックス / 企業の社会的責任(CSR) / 儒教 / コンプライアンス / 信頼 / グローバル化 / 職人倫理 / 道徳教育 |
Research Abstract |
1.今年度は、9月、韓国釜山国際大学校において、「仕事の倫理」をテーマに、シンポジウムを開催した。日韓双方から6名が参加し、(1)日本や韓国における、労働意識や現状、とりわけ、ニートやフリーター問題、(2)儒教の位置づけ、(3)二宮尊徳の思想の現代性、(4)職人に見られる職業倫理、などについて、論じた。日本も韓国も、若者の労働意識に大差なく、同じように、ニート、フリーター問題を抱えていること、また総じて、従来の勤勉のモラルが失われつつあることが確認された。また、職人の勤労道徳に典型的に見られる、職業倫理が、回復可能なのか、回復すべきなのか、それとも経済・文化の動向に応じた、新たな道徳を創出すべきなのか、深刻な対立があることが議論された。勤勉とレイジーネス(怠惰、自由志向)を安易に対立させてはならないが、一方だけが正しいと言い切れない問題があることが確認された。 2.また、同じく9月に、日独シンポジウムを、関東学院大学メディアセンター(横浜)で開催した。テーマは、「ビジネス・エシックスと異文化間のジレンマ」で、日独双方からそれぞれ4名が発表をおこなった。このシンポジウムでは、個別企業における具体的なケースを取り上げ、日本側からは、(1)雪印乳業、(2)三菱扶桑、(3)松下電器における、問題の経過と分析が行われ、(4)ウォルマート、(5)シンガポールに進出したドイツ企業の異文化間問題、(6)ドイツにおけるビジネス・エシックスの現状、等について報告をおこなった。ここでは、文化が労働意識や勤労道徳に与える影響や、労働における、異文化の共生がもつ問題点について、活発な議論がなされて有益であった。 3.8月には、見城は、大連(中国)において、国際二宮尊徳思想学会において、「戦時下の経済倫理と『報徳経済学研究会』」について報告を行った。尊徳の合理性や実践的な倫理思想の新たな見直しが、急激な経済発展にともなう深刻な問題をもつ中国においても、また日本においても行われている、一つの証拠である。 4.また、11月、杉田は、杭州(中国)において、日本哲学会と中国社会研究所の共催による、日中哲学シンポジウムにおいて、「グローバル化と哲学の可能性」と題して報告をおこなった。グローバル化は経済活動に由来し、大きな影響を与えている。東アジアの思想がこれに何ができるかがテーマであり、日中双方の、とらえ方の異同が鮮明になり、有益であった。
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Research Products
(13 results)
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[Book] 教育の倫理学2006
Author(s)
加藤 尚武
Total Pages
211
Publisher
丸善
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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