2004 Fiscal Year Annual Research Report
聴皮質と脳幹聴覚伝導路の聴空間情報処理メカニズムの研究
Project/Area Number |
15209055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加我 君孝 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80082238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岨 達也 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60251302)
伊藤 健 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50251286)
岩崎 真一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10359606)
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40334370)
狩野 章太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00334376)
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Keywords | ABR / 方向感 / 聴皮質 / 骨導 / Time-Intensity-Trade / ヘルペス脳炎 / 誘発電位 / 髄鞘化 |
Research Abstract |
《基礎的研究》 1.ラットの聴皮質に64チャンネルの多点電極を硬膜を取り除き、聴皮質を露出させてその上に置き、周波数別の局在性部位を同定した。この聴皮質に電気刺激を加えることでこの周波数局在部位が変化することを見出した。 2.脳幹の発達的変化のモデルとして、新生仔のラットのABRの変化を気導刺激で調べた。ABRは生後10日過ぎて出現し、急速に正常化することがわかった。同時に骨導刺激を加え、その結果、骨導ABRは生後7日目には良好な反応が得られることがわかり、ラットでは中耳機能の発達が約1週間かかることを明らかにした。 3.ラットの気導ABR、骨導ABRの比較検討し、骨導ABRの音刺激としてフレェイ社の超磁歪骨導素子を用いて比較したところ、気導・骨導の両方ともヒトでは聴こえない超音波領域のABRが記録できることを明らかにした。これはラットの方向感は主に音圧差で処理されることを示唆している。 《臨床的研究》 1.方向感の気導による音刺激の2成分である時間差と音圧差について、これまで別々に記録されていたが、時間差、音圧差取り引きについて調べた。(1)時間差を200μ秒だけ与え、それを音圧差で正中に戻した場合も、(2)音圧差を10dB作り、それを時間差で正中に戻した場合も同様に成立することを証明した。 2.方向感の骨導刺激で、1と同様に時間差、音圧差取り引きについて調べ、成立することを証明した。従来、骨導刺激では方向感は成立しないとされていたが、その説を覆すものである。 3.片側人工内耳、反対側補聴器の患者の音源定位を調べるために、無響室でスピーカ法による音源定位実験が可能となるようにした。 4.脳磁図を用いて聴皮質の昨日研究を行った。(1)Binaural Beatは聴皮質にdipoleが成立することを明らかにした。(2)語音のモデルとしての複合音のスペクトラル包絡がN100mの成立に関与することを明らかにした。(3)聴皮質損傷患者ではN100mもMLRmも出現しないことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)