2003 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト・アラブ共和国 アブ・シール南丘陵遺跡の保存整備計画立案のための研究
Project/Area Number |
15251001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉村 作治 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (80201052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 敬夫 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 講師 (10367112)
長谷川 奏 早稲田大学, エジプト学研究所, 助教授 (80318831)
近藤 二郎 早稲田大学, 文学部, 助教授 (70186849)
柏木 裕之 早稲田大学, エジプト学研究所, 講師 (60277762)
中川 武 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063770)
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Keywords | 古代エジプト / アブ・シール南 / 新王国時代 / エジプト学 / 日乾煉瓦遺構 / 石造建造物 / 保存修復 / 整備計画 |
Research Abstract |
1991年よりアブ・シール南丘陵遺跡において重ねられた調査、研究の結果、丘陵は王朝時代を通じて重要な位置を占め続けてきたことが明らかとなった。そのため遺跡の保存にあたっても、技術的な問題だけでなく、重層的な性格をもつ丘陵遺跡全体への深い理解とそれに立脚した整備のあり方が求められている。一方で、劣化が進行し、消失の危険が迫る遺構部分もあり、危険個所に対する緊急保護措置の必要性が認識された。そこで平成15(2003)年度は、丘陵遺跡全体の理解に向けた発掘調査の継続と、危険度の高い遺構に対する保存措置を現地で試みるとともに、日本国内では長期的な視点に立った保存整備計画の策定に向けた研究会を重ねた。 エジプトにおける現地調査は7月から9月の約2ヶ月間実施され、保存整備として、資料的な価値が高いものの脆弱な構造のため消失の危機に瀕している日乾煉瓦遺構を取り上げた。そこでは保護用の建材として現代の日乾煉瓦を用い、遺跡の保存とともに景観にも配慮した。また将来の抜本的な保存整備に妨げとならぬよう、遺跡を傷めず、除去可能な手法を採用した。 一方、日本国内では日乾煉瓦遺構の保存方法や石造建造物の保存整備計画を巡って研究会を開催した。とくに石造建造物については、近年保存整備が終了したメルエンプタハ葬祭殿(ルクソール西岸)を取り上げ、その遺跡整備を批判的に検討した。なお研究会は来年度以降も継続して実施する予定である。 今年度の成果は、日本オリエント学会大会、国際文化財保存修復研究会などの場で口頭発表しており、またこれを記した概報の出版を現在準備している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshimura, S., Kawai, N.: "Finds of the Old and Middle Kingdoms at North Saqqara"Egyptian Archaeology. 23. 38-40 (2003)
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[Publications] 吉村作治他: "早稲田大学第11次アブ・シール南丘陵頂部遺跡発掘調査概報"ヒューマンサイエンス. 16-1. 62-76 (2004)
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[Publications] 吉村作治他: "エジプト学研究別冊第7号・アブ・シール南丘陵頂部遺跡第11次発掘調査報告"早稲田大学エジプト学会. 120 (2003)