2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ遊牧圏における生活安全網と地域連環の統合的研究
Project/Area Number |
15251010
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Research Institution | The University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 俊 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (00114497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 聡 国際農林水産業研究センター, 国際情報部, 研究員 (60344842)
太田 至 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (60191938)
河合 香吏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (50293585)
湖中 真哉 静岡県立大学, 国際関係学部, 助手 (30275101)
岡倉 登志 大東文化大学, 文学部, 教授 (40129929)
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Keywords | 婚資家畜 / 携帯電話 / 労働交換 / コーヒー価格 / 通過儀式 / 生計戦略 / 植生変化 / 政党の分裂 |
Research Abstract |
1.地域社会班:(1)トゥルカナ社会では、多数の家畜が婚資として移譲される。婚資の家畜は夫側の親族や友人の広い範囲から調達され、妻側の広範な親族に与えられる。この姻族関係は、旱魃やレイディングによって家畜の多くを失った人々にとって、一時的な支援を求めたり、家畜群を再興するために非常に重要な役割を果たしている。 (2)エチオピア南部のガブラとボラナの両社会の歴史的関係を再構成した結果,民族意識が興隆する1960年代以前の牧畜社会には、たとえ異民族であったとしても井戸を共同で利用する関係が存在していた。ウシ牧民は、井戸を独占しているが、その一方で慢性的な労働力不足に悩んでいる。ラクダ牧民は、井戸を所有していないが、ウシ牧民に労働力を提供することで水へのアクセス権を確保していた。このように生業牧畜の違いが生活安全網の礎になっていることが明らかになった。 (3)レンディーレ社会では,集団割礼式を行なう準備儀式が開催された。この儀式は,本来すべてのクランが共同して行なうものであるが,半族の違いが表面化して,分裂する事態になっている。その要因として,国会議員選挙における対立,儀式の商業撮影に対する利害対立などが潜んでおり,行政当局の調整圧力を強く受ける事態となっている。 (4)サンブル社会では,2000年の旱魃以降、貧窮化した世帯では、ウシからヤギ・ヒツジに重点を移行させて、必要な最小限の牛を飼育する戦略を採っていた。2005年から2006年にかけての旱魃では、それが功を奏し、多くの裕福な世帯が牛群を失うなか、旱魃を耐え凌ぐことに成功している。貧窮化した世帯は、威信を求めて牛群の増殖を図る裕福な世帯とは異なった安全戦略をとっている。 2.広域的社会経済班:ケニアの与党である全国虹の連合(NARC)の分裂が進むなか、「政党」組織が意見集約機能を喪失して地域化していく過程を、2005年の新憲法案国民投票結果やその後のオレンジ民主運動(新憲法案反対派を起源とする)をはじめとする各種新党の設立経緯から分析された。 3.GIS/RS解析班:トゥルカナランドの難民キャンプ周辺の長期的植生トレンドを1981年から23年間にわたって解析し,植生変動の顕著な地域の特定を行った。
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Research Products
(18 results)