2003 Fiscal Year Annual Research Report
高輝度放射光によるアクチンミオシン三次元分子動態と心筋心室マクロ動態の統合解析
Project/Area Number |
15300175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 直人 高輝度光学科研究センター, 主席研究員(研究職) (80133940)
宮坂 武寛 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科・医学部, 助手 (60308195)
奥山 博司 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30133333)
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Keywords | 放射光 / 心筋 / アクチン / ミオシンヘッド / クロスブリッジ / X線回折像 / レーザ回折 / サルコメア |
Research Abstract |
ラットの心臓を摘出してBMD潅流停止心の右室より乳頭筋を単離し、制御装置に保持した。酸素化したタイロード液で灌流し、電気刺激により等尺収縮をさせ、発生張力を計測した。Spring-8のBL45XU放射光により心筋のアクチン・ミオシンに由来する(1,0)と(1,1)の回折像を得た。これと同時に、HeNeレーザを乳頭筋に照射し、サルコメアによる回折像の0次と1次の間隔よりサルコメア長を計測した。静止時のサルコメア長と収縮タンパクの格子間隔の間には、下に凸な放物線状の逆相関関係が認められたが、詳しく調べると体積が完全に一定とはいえず、サルコメア長の増減により格子から水が少量出入りしていることがわかった。等尺収縮時張力の1心周期内変化は、張力発生にミオシンからアクチンへの質量移動が先行し、張力が減少する収縮後半ではその逆に跳梁区減少がアクチンからミオシンへの質量移動に先行した。ミオシンヘッドがまずアクチンに近づいて後、クロスブリッジが形成されて張力が発生するが、後半ではクロスブリッジが解離して後にミオシンヘッドがアクチンから離れて行くことがわかった。次に静止時のサルコメア長を変化させて、ピーク張力とミオシンからアクチンへの質量移動量の関係を調べた。最大発生張力とミオシンからアクチンへの質量移動量にはプラスの相関関係があった。この結果は、サルコメア長の増減による発生張力の増減(スターリングの心臓の法則)が、アクチン・ミオシン間に形成されるクロスブリッジ数の増減に由来することを明確に実証した極めて重要な結果である。BMDによる丸ごとの停止心にX線を照射すると心筋のアクチン・ミオシンによる(1,0)と(1,1)の赤道反射が観察された。左室自由壁から左室の中心部に向けて照射部を移動させると、最初、縦方向が多かった回折像が、やがて同心円状となり、心内膜下を照射部位とするとき横方向の回折縞中心となった。これにより心外膜下では横方向に走行する心筋繊維がやがて入り交じった走行となり、心内膜下では縦方向に走行する心筋繊維中心となることがわかる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yagi N, Shimizu J, Mohri S, Araki J, Nakamura K, OKuyama H, Toyota H, Morimoto T, Morizane Y, Kurusu M, Miura T, Hashimoto K, Tsujioka K, Suga H, Kajiya F: "X-ray Diffraction from a Left Ventricular Wall of Rat Heart"Biophys J. 86・4. 2286-2894 (2004)
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[Publications] Yagi N, Ohuyama H, Toyota H, Araki J, Shimizu J, Iribe G, Nakamura K, Mohri S, Tsujioka K, Suga H, Kajiya F: "Sarcomere-length dependence of lattice volume and radial mass transfer of myosin cross-bridges in rat papillary muscle"Pflugers Arch.. Feb 6. (2004)
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[Publications] Tsukada K, Sekizuka E, Oshio C, Tsujioka K, Minamitani H: "Red blood cell velocity and oxygen tension measurement in cerebral microvessels by double-wavelength photoexcitation"J Appl Physiol.. 96・4. 1561-1568 (2004)
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[Publications] Mochizuki S, Miyasaka T, Goto M, Ogasawara Y, Yada T, Akiyama M, Neishi Y, Toyoda T, Tomita J, Koyama Y, Tsujioka K, Kajiya F, Akasaka T, Yoshida K: "Measurement of acetylcholine-induced endothelium-derived nitric oxide in aorta using a newly developed catheter-type nitric oxide sensor"Biochem Biophys Res Commun.. 306・2. 505-508 (2003)