2003 Fiscal Year Annual Research Report
熱的および化学的に安定な一次元ナノ反応場における単結晶磁性体ナノワイヤの水熱合成
Project/Area Number |
15310068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
京谷 隆 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (90153238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 浩一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (00292300)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 磁性体 / ナノワイヤ / 高密度磁気媒体 / 水熱反応 |
Research Abstract |
磁性体ナノワイヤは基礎的にも応用の面でも注目されており、とくに超高密度磁気媒体や磁気センサーとしての利用が期待されている。この様な用途においてナノワイヤに求められる特性は、結晶性が高いこととナノメータスケールでサイズが均一であることである。本研究では、熱的および化学的に安定で制御された構造をもつ一次元ナノ空間を創製し、その空間を水熱反応の場として利用することで、単結晶でかつサイズの揃ったフェライトなどの磁性体ナノワイヤの水熱合成を目指している。具体的にはアルミニウム陽極酸化皮膜の均一で制御された直線状ナノ細孔の内壁を炭素で均一に被覆することで、熱的および化学的に安定な一次元ナノ空間を創製する。このナノ空間内に出発原料を導入した後、水熱合成条件で処理を行うことで、単結晶でサイズも均一なフェライトナノワイヤを合成する。本年度は以下のような結果が得られた。 (1)アルミニウム陽極酸化皮膜の調製 高密度磁気記録媒体への応用を考慮して、アルミニウム板そのものを陽極酸化するのではなく、シリコン基板上に蒸着したアルミニウム金属薄膜を陽極酸化した。蒸着条件を変化させることでアルミニウム薄膜の厚さを50nmから1000nmまで変化させたものを用いた。これを硫酸溶液中でアルミニウム金属層だけを陽極酸化することで、シリコン基板上に直径10nm程度で長さがアルミニウム層の膜厚に等しい直線状細孔を有する陽極酸化皮膜が生成した。 (2)アルミニウム陽極酸化皮膜の炭素被覆 上記で生成したアルミニウム陽極酸化皮膜/シリコン基板に800℃でプロピレンを流した。これにより炭化水素ガスからの熱分解炭素がアルミニウム陽極酸化皮膜の外表面とナノ細孔の内壁に均一に堆積することを確認した。これは、炭素堆積後、フッ酸処理でシリコンを完全に溶解させ、不溶分として残ったカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察することで行った。 以上、本年度で熱的および化学的に安定な一次元ナノ空間を創製することができた。次年度でこのナノ空間を利用して強磁性体ナノワイヤを作製する予定である。
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