2004 Fiscal Year Annual Research Report
撹乱環境に自生する遺伝資源植物における自生地保全に関する生態遺伝学的研究
Project/Area Number |
15310161
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 裕文 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20112542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 純 北海道大学, 農学研究科, 助教授 (00192998)
梅本 信也 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教授 (60213500)
中山 祐一郎 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (50322368)
西野 貴子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (20264822)
副島 顕子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (00244674)
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Keywords | 野生遺伝資源 / 栽培植物 / ジーンフロー / 生態遺伝学 / フィールド調査 / SNP |
Research Abstract |
平成16年6月に研究打ち合わせ会議を開き、15年度結果に関する討議と16年度の計画を検討した。継続調査対象地を近畿南部と九州北部および韓国とし、マメ類、ヒエ属植物、食用ユリ、タデなど東亜原産の栽培植物の野生集団について分析を進めた。ツルマメではダイズとの遺伝子流動の実態を明らかにするため、韓国東部の安東市周辺のツルマメ自然集団において開花初期にあたる8月下旬と種子登熟期の10月中旬に各々1週間の現地調査を行い、他殖率推定のために種子を収集した。また、個体の定着に欠かせない種子の硬実性とその打破に関する集団間差異を検討した結果、ツルマメは、集団間で異なった発芽定着戦略を有することが示唆された。アズキ類では、アズキとタケアズキについて収集・保存系統を用いアミラーゼ遺伝子の非コード領域についてSNPを検出し、その地理的分布について検討した。野生種および栽培種の伝播過程を裏付けるSNPとその組み合わせの有効ハプロタイプを特定できた。また、ミャンマー産素材を中心として葉緑体DNAを使った系統解析を行った。ヒエでは、開発したマイクロサテライトの遺伝的特性について調査した。親子解析で断片長多型は保存的に伝達されたが、反復領域の多型と断片長とには整合性に偏っていた。一部のマイクロサテライト(単一座座乗)について調べたところ、整合性は遠距離および種間では低く、近縁個体では高かった。これは、遠縁個体では反復領域のflunking regionに塩基置換と挿入欠失による多型があるためと解った。食用ユリでは野生種の集団間に葉緑体DNAのSNPがみられ、母系を標識する変異を得た。芽タデ野生種とドイツアザミ野生種について聞き取り調査を行い、ヒエ属では多年生種、エンバクでは矮性燕麦を海外調査において発見し、収集した。冬季の成果検討会は次年度の計画会議ですすめることとした。
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Research Products
(5 results)