2005 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代のアジア諸地域における観光文化に関する包括的研究
Project/Area Number |
15330106
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
根橋 正一 流通経済大学, 社会学部, 教授 (50164661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 和史 流通経済大学, 社会学部, 教授 (30191662)
八田 正信 流通経済大学, 社会学部, 教授 (10218498)
東 美晴 流通経済大学, 社会学部, 助教授 (50347978)
朱 思琳 流通経済大学, 経済学部, 助教授 (20326797)
呉 軍 流通経済大学, 経済学部, 助教授 (30326798)
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Keywords | 観光社会学 / 観光選考性 / 内発論 / 国際観光 / 世界経済システム / オリエンタリズム / 観光のまなざし / 社会階層 |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年度であり、研究成果のまとめが課題であったので、中国雲南省および台湾に於ける現地調査の他、シンポジウムを開催し本研究の代表者,分担者ばかりでなく各国で調査の協力者等がそれぞれ研究報告を行い、討論を行った。その中で得られたいくつかの成果について報告する。 第1の成果は、観光を中心課題とした学際研究によって厚みのある知見を得ることができた。たとえば、近年急速に経済発展し、社会構造や社会階層の変動も激しい中国上海に出現した2つの観光スポット、すなわち市内の「新天地」と郊外の「周庄」を調査研究した。財政学の視点からは、観光地開発によって官と民の関係が明らかにされるとともに、そこに納税者層と言うべき新たな市民層の出現が見出された。これと関連して社会学の視点から行われた社会階層と観光選考性との関係に関する調査によって、社会層と観光意識との明らかな関係性が明らかになった。商学の視点からの観光地分析は商業集積の場としての観光地の視点が提起された。このような経済発展、階層分化、市民層の出現、観光選好傾向、観光地の構造や性格といった一連の状況に背景にある国際経済システムと野関係についての研究が国際社会学の立場から提案された。中国の観光を中心としながら都市社会における社会変動と財政、経済の変動を総合的に研究することが出来た。 第2の成果は、観光社会学の可能性を示すことが出来た点である。現在アジア各国において観光社会学研究は緒に就いたばかりである。観光や娯楽といったそれぞれの文化や歴史の中でユニークな発展を経験した領域については、それぞれの文化に根ざした研究が必要であるが、その点で残念な状況といえるが、われわれはグローバルな視点に立ちながら各国の特徴ある観光の研究の可能性を認識することが出来た。 第3の成果は、各国における国際観光の研究から、近代化論アプローチから内発論アプローチへの視点の転換が提案された。観光に関する認識や取り組みはヨーロッパをモデルとして行われてきたが、アジア独自の観光の研究の可能性を見出すことが出来た。 第4は、第3と関連しているが、「オリエンタリズム的な観光のまなざし」への着目である。
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Research Products
(5 results)