2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会変動と家族・自己・ジェンダーに関する文化・発達心理学的研究
Project/Area Number |
15330143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
柏木 惠子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (10086324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永久 ひさ子 文京学院大学, 人間学部, 専任講師 (90297052)
下條 英子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (30231137)
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代文化学部, 助教授 (60255940)
渡邊 惠子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (00000068)
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Keywords | 社会変動 / 家族 / 夫婦 / ジェンダー / 自己観 / アイデンティティ / コミュニケーション / 個人化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1)育児期から子育て終了までの女性を対象とし、親子・夫婦間の資源移動と現在の資源配分、夫婦間の衡平性、満足感・幸福感(well-being)について実証的に検討すること、2)日本における家族間での資源移動、家族内の資源の変化により、満足感・幸福感がどのように変化するかを文化心理学的視点から検討することにある。 今年度は、研究1,2に対する探索的検討を行った。まず、研究組織員全体で、自己観、ジェンダーアイデンティティ、家族関係、役割行動、コミュニケーションに関する日米比較、および日本内比較資料を総覧し、研究課題について多角的総合的な検討作業を行った。その上で、本研究で扱う家族、個についての概念的検討およびそれに影響する心理学的社会学的要因を洗い出し、調査項目・対象を検討した。 上記の作業により、有意味と推定される属性として、地域、性、年齢、学歴、社会的地位・役割をとりあげ、また家族変動がみられるとして、定年退職という人生転換期、家族内の資源変化に着目し、個別的深層面接を実施した。男女カップル10組、計20名のデータを得た。インタビューデータを各研究者がケースに即して具体的多角的に把握すると同時に、それがどのような日常の行動や態度に反映されているか、どのような資源配分・移動が行われているか、また何が契機となって自己観の特徴が形成されているかについて検討した。現在、インタビューの質的・量的分析が進行中である。 これと並行して、自己観及びジェンダーアイデンティティに関する「関係性」「個人化」を測定しうる妥当性の高い尺度開発を開始した。主観的幸福感については、MIDUS調査の項目を参照しながら(佐々木、唐澤他、2001,2002)、文化間・文化内比較が可能な尺度を検討した。また、前記個別面接調査および従来の諸知見から、「関係性」と「個」特性変化と関係し、その特徴を最もよく反映していると考えられる心理・行動特性を選定した。さらに、家族内および/あるいは社会的状況における役割の認知・遂行・感情、家族間の資源配分・移動などを測定する方法-質問紙および面接調査の項目について、信頼性・妥当性を検討するため、子育てについての経験をたずねる、小規模な予備調査を実施した。
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