2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15330198
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
尾崎 久記 茨城大学, 教育学部, 教授 (40092514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 多美恵 茨城大学, 教育学部, 教授 (70091866)
前川 久男 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (50165635)
篠田 晴男 立正大学, 心理学部, 助教授 (90235549)
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Keywords | 認知神経科学 / 事象関連電位 / 注意欠陥 / 多動性障害 / 単音節語音知覚 / 注意障害児 / 選択的注意 / ダウン症 / 低視力 |
Research Abstract |
発達障害では、感覚・知覚・認知など情報の入手が脆弱だったり、運動・発声発語など表出が制約されていることがしばしばある。個々の発達障害によりそれらの諸機能の作動状態は異なり、その状態像は制約された機能の作動様相が密接に関与している。情報入手や運動表出はいずれも注意に左右されるが、注意は自在に変化するため行動から捉えるには限界がある。 本研究では、注意に左右される認知行動時の脳機能状態を認知神経科学的計測を用いて捉え、注意障害への支援方策を提言しようとするものである。2年目の平成16年度には、下記に取り組み成果を得た。 (1)CPT-AX課題時の事象関連電位を用い、注意欠陥多動性障害(ADHD)の運動実行と運動抑制を追跡的に検討した結果、経年的な行動改善に対応して脳内過程の様相も変化していた。 (2)自分が発した声を増強させて聴覚的にフィードバックすると、ダウン症の発語の明瞭化が促進されるとともに、発語関連脳電位(VRCP)でも振幅増強が認められたことから、ダウン症の発語明瞭化に聴覚フィードバック増強が少なからず有用であるとの見通しを得た。 (3)読み障害では音韻への気づきの脆弱さが懸念される。そのような音韻への気づきについて、事象関連電位(ERP)を用い発達性読み障害児で検討した結果、単音節知覚における認知処理過程の活性化が低いことが明らかになった。 (4)指先の触機能を駆使して蝕認知している視覚障害者での振動刺激弁別時の選択的注意をERPにより検討した。その結果、視覚障害者は非選択的注意事態でも的確に振動パターンを認知していることが明らかになった。 (5)視野周辺からの視覚情報入手は、環境認識や視覚探索の際に重要な役割を果たしている。ERPのP2成分の出現様相から、低視力では狭い視野範囲からの情報入手に頼っていることを示した。
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Research Products
(7 results)