2003 Fiscal Year Annual Research Report
虐待防止のための子育て支援センターを利用した家族支援システムの構築に関する研究
Project/Area Number |
15330201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
七木田 敦 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (60252821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 泰弘 東北福祉大学, 福祉学科, 助手 (10337206)
立元 真 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (50279965)
山崎 晃 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40106761)
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Keywords | 虐待防止 / 子育て支援 / 家族支援 / 養育スキル / 親トレーニング / 養育ストレス |
Research Abstract |
本研究では、近年増加の傾向にある乳幼児の虐待について、その原因を、養育スキルの未熟さと育児情報の不足という点からとらえ、スキル向上のための応用行動分析の手法を用いた親トレーニングを子育て支援センターの活動に位置づけ、実施しその効果を検証することを目的とする。本年度は、虐待などの問題的な養育行動の発生を防ごうとする予防的観点から、幼児を持つ親に対する行動理論に基づく養育スキルトレーニング(親訓練)介入を行った。幼稚園に通う3歳以上の子どもを持つ母親64名に対して、養育スキルトレーニングプログラムを実施した。 養育スキルトレーニングプログラムは、「1:子どもの発達と心の問題」、「2:注目を与えることと子どもの行動の分類」、「3:誉めることやご褒美を与えることによる望ましい行動の強化」、「4:計画的無視や非隔離型のタイムアウトによる注目獲得行動への対処」、「5:指示・警告・家族のルールやタイムアウトなどの方法による、注目が関係しない困った行動(暴走行動)への対処」からなる、90分×5回の構成であった。養育スキルトレーニングプログラムを実施した効果は、改訂版養育スキル尺度(弓削、南村、藤田,2004)によって養育スキルの向上の程度を、また、ストレス反応(新名・坂田・矢冨・本間,1990)によって養育ストレスを、また幼児用愛着関係測定尺度(非公刊)によって測定した。 この結果、養育スキルについては、「罰」、「一貫性のないしつけ」を減少させ、「望ましい制限」を向上させる効果があることが示された。また、養育ストレス反応も、「不安」、「不機嫌」といった感情的反応、「自信喪失」、「思考力低下」、「無気力」といった認知・行動反応を軽減させ、他のストレス反応についても有意に悪化させたものはなかった。愛着関係については、養育スキルトレーニングプログラムは、「愛着の安全安定性」を向上させ、また、「アンビバレントな注目獲得行動」を減少させるという望ましい方向に働く傾向があることが示された。
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