2003 Fiscal Year Annual Research Report
不安定核構造研究のための新しい電子散乱実験法の開発
Project/Area Number |
15340092
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
若杉 昌徳 独立行政法人理化学研究所, 加速器技術開発室, 先任研究員 (70250107)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 寛仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90260413)
濱 広幸 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70198795)
須田 利美 独立行政法人理化学研究所, RIビーム科学研究室, 副主任研究員 (30202138)
小関 忠 独立行政法人理化学研究所, 加速器技術開発室, 先任研究員 (70225449)
|
Keywords | Electron-RI colliding system / Ion trapping / Internal target |
Research Abstract |
不安定原子核の電荷分布を精密に測定するには、電子ビームの弾性散乱実験を行うことが最も優れた方法であるが、これを実現するには、通常は大型のイオン蓄積リングと電子蓄積リングによるコライダー方式が取られる。しかし、我々が提案しているSCRIT(Self-Confining Radioactive Ion Target)を用いることによって、コライダーを必要とせず安価に、より簡単に不安定核の電子散乱実験が実現できる。SCRITとは、小型の電子蓄積リングの一部分に形成するEBITである。この技術の確率のために、本科研費でSCRIT試作装置を製作した。SCRIT装置は、イオンを閉じ込めるための電場を与える電極システムを内蔵し、そこへ特定イオンを入射するためのイオンビーム入射ラインが付随する。SCRIT電極群の中心は100-500MeVで蓄積された電子ビーム軌道であり、イオンはこの軌道上に入射されトラップされる。SCRIT試作装置は平成15年11月に完成し、理化学研究所において事前試験(真空試験、イオンビーム発生および輸送試験、SCRIT電極への高圧印加試験等)を終え、平成16年1月に京都大学化学研究所の電子蓄積リングKSRへのインストールを完了した。KSRでの試験として、高電圧を電子軌道上で操作することによる周回電子ビームへの影響を、60MeV電子ビームを用いて測定した。結果として、SCRIT電極において15kVの高電圧印加状態においても何ら電子ビームに影響を与えることのないことが確認された。同時に散乱電子の検出器の更正および、検出器周辺でのバックグラウンド計測実験を終了した。これらの実験から、SCRIT方式による電子散乱実験が技術的に十分可能であることが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)