2005 Fiscal Year Annual Research Report
含水地球深部物質の高温高圧下での相転移を水素原子周囲の局所構造から理解する
Project/Area Number |
15340190
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鍵 裕之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70233666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角森 史昭 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60291928)
奈良 雅之 東京医科歯科大学, 教養部, 助教授 (90301168)
岡田 卓 大阪大学, 大学院理学研究科, 特任助手 (90343938)
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Keywords | 水素結合 / 地球内部 / 含水鉱物 / ダイヤモンドアンビルセル / 赤外分光 / その場観察 |
Research Abstract |
本研究計画は最終年度となり、中性子回折と振動分光法を併用した水素結合の圧力応答に関する研究で、多くの研究業績をあげることができた。例えば含水アルミニウムケイ酸塩であるトパーズは、天然に産出される場合ではその水酸化物イオンの1/3程度までフッ化物イオンで置換されている。天然のトパーズに圧力をかけると、水素結合が弱くなる傾向が報告されてきたが、フッ化物イオンを完全に水酸化物イオンで置換すると、圧力の増加と共に水素結合が強まるという全く対照的な実験結果が得られた。そのメカニズムは、我々によってなされた高圧下の中性子回折によって明らかになりつつある。また、天然試料、すなわち地球深部を起源とする岩石中に含まれる流体包有物を対象とした研究についても成果をあげることができた。特にダイヤモンド中の流体包有物である水の特徴について、赤外吸収スペクトルの測定から知見を得ることができた。今後は、顕微分光を駆使することによって、マントル流体の組成、圧力、熱力学的特性などを解明することになるであろう。 ところで高圧下での中性子回折実験については、サイエンティフィックな成果のみでなく、今後の研究の見通しを開くこともできた。東海村に建設中の新しいパルス中性子線源に高圧装置を導入する研究計画を立ち上げ、2年間にわたる審査を経て、我々の装置計画が採択された。本研究計画における中性子回折実験は主に英国ラザフォードアップルトン研究所における共同利用実験によってなされてきたが、数年後から同種あるいはそれ以上の極限条件での実験が我が国で可能となる道を開拓したことになる。
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Research Products
(7 results)