2004 Fiscal Year Annual Research Report
歴史資産を擁する都市域を対象とした地域情報システムの構築に関する日仏共同研究
Project/Area Number |
15360327
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三宅 理一 慶應義塾大学, 大学院・政策・メディア研究科, 教授 (70157618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 雅夫 都市設計ネットワーク, 代表 (90365445)
渡邊 朗子 慶應義塾大学, 大学院・政策・メディア研究科, 助教授 (80286632)
赤堀 忍 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (10327760)
山名 善之 東京理科大学, 工学部, 専任講師 (70349843)
鳥海 基樹 東京都立大学, 工学部, 専任講師 (20343395)
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Keywords | 歴史遺産 / 地域情報システム / 近代和風建築 / 日仏比較研究 / アーカイブ / 環境保全 / GIS / 文化資源 |
Research Abstract |
本研究は、歴史都市の主として建築資産をデータベース化し、その積極的活用を目指した制度的・技術的方法論を構築し、日本とフランスの事例を比較しながらそのノウハウの交換、人材交流の基盤をつくることを目的としている。 2004年度は、鎌倉と金沢を主たる対象地として、建築物の悉皆調査、ヒアリング調査、地籍図・登記簿調査、実測調査、GISデータベース化作業等により近代和風建築の分布状況とその保全について考察した。鎌倉での調査結果からは、近世の社寺を中心とする都市構造の上に、性質が異なる近代住宅群が重層し、特有の都市景観が形成されたことがわかった。金沢での調査結果からは、大正期から昭和初期に建てられた近代和風住宅群の固有の建築的特徴が明らかとなった。また、GISにより多種類の資料や情報を重ね合わせる作業からは、土地利用形態の変遷の可視化など、より都市の歴史性を反映した地域計画の可能性が示唆された。GISデータベースは、建築意匠や構法など、都市固有の調査項目を設定することにより、都市開発や歴史的環境保全を総合的に考えていく上で有効な方法となることが明らかとなった。 また、日仏比較研究のプラットフォームとして、鎌倉-ニース会議(6月)、金沢-ナンシー会議(11月)、横浜-リヨン会議(2月)と3回の国際会議を開催した。都市インフラストラクチュア、土地利用、地籍管理、生態系等の都市管理システムの観点から問題を提起し、建築物データ、文化財分布、緑地やオープンスペースなど悉皆的な情報基盤が、日本においてもより戦略的に構築すべきである点が確認された。建築資産を含めた文化資源再利用のプログラム化に向けて、今後もさらに取り組んでいきたい。
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