2005 Fiscal Year Annual Research Report
浄化機能を有した複合材料の創製を目指した有機分子/金属超微粒子の研究
Project/Area Number |
15360358
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八木 伸也 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20284226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽田 一雄 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70154705)
加藤 政彦 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (70222429)
柚原 淳司 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10273294)
橋本 英二 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (50033907)
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Keywords | L-Cysteine / (CH_3)_2S / Rh(PVP) / 超微粒子 / ナノホール / Pd / サイズ効果 / 放射光 |
Research Abstract |
遷移金属表面における硫黄原子を含む分子の吸着系を調べることは、高機能な自動車触媒や化学工業的な脱硫触媒さらには新薬開発への応用につながると期待され、かつ有意義な知見を与えると考えられる。本研究では、遷移金属表面であるCu(100)やRh(100)単結晶表面に吸着したL-Cysteine分子、(CH_3)_2S分子そしてC_2H_5SH分子の吸着構造について放射光を用いたX線吸収端微細構造法(NEXAFS)及びX線光電子分光法(XPS)によって調べた。また、Rh超微粒子が高分散状態で存在しているRh(PVP)コロイド溶液を利用して、ナノサイズ構造を持った新規表面の作製を試みた。さらにPd超微粒子の粒径制御と、基板表面に固着密度を任意に変化できるパラメータ条件を見出すことに成功した。 まずCu(100)表面に吸着したL-Cysteine分子は、第一層で吸着した分子のS-H結合が解離してチオレートの状態で吸着し、その上の第二層はL-Cysteineのままであるが、チオレートと二量体を形成しているという興味ある結果が得られた。また、その吸着系に対して水分子を共吸着させるとチオレートのS-C結合軸の基板表面に対する配向角が変化することが明らかとなった。これは、水分子がチオレートの硫黄分子まわりに何らかの影響を与えていることを示唆している。次に、Rh(100)表面における(CH_3)_2S分子とC_2H_5SH分子の吸着系では、チオレート状態になる場合とそうで無い場合とが、基板温度に依存して生じることがわかった。これは、分子内のS-C結合の状態およびS-H結合の有無が表面反応に大きな差を生じていることが考えられる。また超微粒子作製については、界面活性剤としてPVP(ポリビニルピロリドン)を用いたRh超微粒子による新規なナノサイズ表面の作製を試みた結果、数nm〜100nm程度の直径を持つ「ナノホール」が無数に存在するこれまでに無い新奇なナノ構造表面の作製に成功した。さらに溶液中での還元反応を伴うプロセスと異なる方法にてPd超微粒子の作製にも成功した。本来Pd表面は、室温付近で大気中において酸化はしないが、このPd超微粒子表面は、非常に容易に酸化していることが明らかとなった。また、XPSやNEXAFSの結果には超微粒子に由来するサイズ効果も見られた。
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Research Products
(6 results)