2003 Fiscal Year Annual Research Report
両生類幼生体から成体への部域依存的組織リモデリング機構
Project/Area Number |
15370028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉里 勝利 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20095516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大房 健 (株)プロフェニックス, 研究担当・専務取締役
鈴木 賢一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90363043)
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Keywords | 無尾両生類 / アフリカツメガエル / トランスジェニック / 変態 |
Research Abstract |
本課題では、無尾両生類の幼生組織、特に皮膚と神経管の部域依存的リモデリングの進行を演出していると考えられる遺伝子(変態運命決定遺伝子)の機能をトランスジェニックカエルを用いて解明することを最終目的としている。そのため、今年度は以下の研究を行った。 (1)エクダイソンによる外来遺伝子発現誘導コンストラクトの作成 エクダイソンにより外来遺伝子の発現を調節できる発現コンストラクトを作製を試みた。転写活性化因子VP16の転写活性化ドメインとエクダイソンレセプターのホルモン結合ドメインおよびDNA結合ドメインからなる融合タンパク質の遺伝子をCMVプロモーターにより発現させるプラスミドコンストラクトを作成した。さらに、エクダイソンレセプター認識配列をふくむプロモーターとルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだプラスミドコンストラクトを作製した。このコンストラクトを両生類の培養細胞であるA6細胞に導入し、エクダイソンアナログ(ポナステロンA)を加えた。その結果、ポナステロンA依存的なルシフェラーゼ活性の誘導が確認された。 (2)部域特異的な変態運命を支配しているHox遺伝子の解析 変態運命決定遺伝子の階層的ネットワークの最上流点にHox遺伝子が存在していると仮定し、以下の実験を試みた。尾部脊髄において、甲状腺ホルモンによりHoxA13遺伝子の発現が誘導される事をin situ hybridization法及びRT-PCR法により確認した。次に正常型HoxA13および機能欠失型HoxA13の発現コンストラクトを作成し、幼生尾部脊髄での強制発現実験を行った。その結果、正常型HoxA13を過剰に発現させると甲状腺ホルモン依存的な細胞死が促進された。一方、機能欠失型HoxA13を導入すると細胞死は抑制された。この結果から、HoxA13が尾部脊索の変態運命を支配している可能性が示唆された。
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