2004 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス廃棄物の炭化機構の解明と炭化生産物の利用技術の開発
Project/Area Number |
15380117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷田貝 光克 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00313081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 啓映子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40322044)
大平 辰朗 (独)森林総合研究所, 研究室長
松井 直之 (独)森林総合研究所, 研究員
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Keywords | 熱分解生成物 / 熱分解液 / クスノキ / カユプテ / ラベンダー / 1,8-シネオール / 精油 / モノテルペン |
Research Abstract |
・熱分解液の保存時における物性や成分の変化を経時的に測定し、長期保存で生じる懸濁物や沈殿物の原因解明に資した。生じる沈殿物の分子量は1,000前後であり、熱分解液構成成分に比べ明らかに分子量が大きくなっており、また、カルボニル基、フェノール性水酸基が認められることからアルデヒド類等のカルボニル化合物とフェノール類が重合に関与していることが明らかになった。 ・クスノキ(Cinnamomum camphora(L.)(Presl.)の葉、カユプテ(Melaleuca cajuputi Powell).の精油、ラベンダー(Lavandula angustifolia Mill.)香料とそれらの含有化合物を熱分解し、生成物の成分分析を行い、生成物およびその生成経路について考察した。 クスノキでは、葉の経時的な変化による熱分解生成物の関係を見るために落葉、当年葉、旧年葉(2年以上枝についたもの)、枝、および落葉、当年葉、旧年葉の熱水蒸留後の葉、熱水蒸留時の落葉、当年葉,旧年葉の熱水抽出物(熱水可溶部分、精油ではない)について熱分解を行った。470℃での熱分解では、クスノキ葉の主要揮発性成分であるカンファーは、落葉、当年葉、旧年葉のいずれからも高含有で主成分として見出されたのに対して、熱水蒸留後の葉および熱水抽出物中の熱分解では見出されなかった。これらの結果はクスノキ葉の熱分解では昇華性のカンファーの一部が熱分解に先立ち昇華したことを示している。このことはカンファーの標品の熱分解によって確認された。熱水蒸留後の葉、及び熱水抽出物にカンファーが見られないのは蒸留によってカンファーが除かれたためである。当年葉、旧年葉の熱分解生成物ではカンファー同様、酢酸の含有率が高いが(20数パーセント)、落葉では低い(6%)。これは落葉が腐朽菌等により分解を受けたためと推定される。フェノール類はすべての熱分解中に見出された。旧年葉、落葉の熱分解物,および熱水蒸留残渣の熱分解物ではパルミチン酸等の高級脂肪酸が相当量含まれていることもクスノキ葉の熱分解物の特徴である。葉にはクロロフィルやアミノ酸などの化合物が含まれているが今回の熱分解では窒素化合物は見出されなかった。 カユプテ精油の熱分解生成物では、精油の主成分である1,8-シネオールは加熱前後で含有率がほとんど変化しないが、α-、β-ピネン等では、他種のモノテルペン類への構造変化、低分子化合物への分解、高分子への重合等が生じ、含有率が著しく減少した。ラベンダー香料では加熱前の主成分である酢酸リナリルは、熱分解生成物中では含有率が著しく低下し、オシメン、酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル等に変化したことが確認された。
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Research Products
(8 results)