2005 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス廃棄物の炭化機構の解明と炭化生産物の利用技術の開発
Project/Area Number |
15380117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷田貝 光克 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00313081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 啓映子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40322044)
大平 辰朗 (独)森林総合研究所, 研究室長(研究職) (40353619)
松井 直之 (独)森林総合研究所, 研究員 (80353853)
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Keywords | 木酢液 / 竹酢液 / 燻煙 / 埋木 / テルペン類 / フェノール類 / 木炭 / CCA |
Research Abstract |
・梱包材として用いられるラジアータパインの害虫防除のための燻煙処理に代わる加圧蒸煮により排出される液体の有効利用を目的としてその成分を検討した。酸類、モノテルペン類、セスキテルペン類、フェノール類が得られ、フェノール類の主成分はバニリンであった。通常、精油には含まれていない酸類が検出されたこと、蒸煮温度の上昇と共に酸類の含有率が高くなることから、加圧蒸煮で熱分解が起こっていることがわかる。主成分はα-terpineolで、30%以上に達し、他にもterpinen-4-ol等の殺虫活性の高い成分が高含有率で見出された。 ・スギ葉を燻煙処理した時の燻煙の構成成分を分析し、生葉ヘッドスペース成分と比較・検討した。その結果、燻煙成分としては、生葉ヘッドスペース成分と類似したsabinene, α-pineneを中心とするモノテルペン類と、熱分解による生成物と思われる脂肪族由来の直鎖状の低級炭化水素類(炭素数3〜7)、およびベンゼンやフラン類の存在を明らかにした。 ・埋木における木質成分の変化を検討するためにスギ埋木根株と生木の炭化留出物を比較・検討した。生木も埋木も230℃までに大部分の精油が留出し、その後、主要成分のセルロース、リグニン等の分解物が留出した。埋木ではセルロース由来とされるフラン誘導体、シクロペンテノン類が生木に比較して少なく、リグニン由来とされるフェノール類が生木よりも多かった。これは木質的な劣化が埋木中に生じ、セルロース含量が減少したために相対的にリグニン含量が増加した結果である。 ・CCA処理材の有効利用をはかるために、異なる炭化温度で処理材を炭化し、得られた木炭中に含まれるヒ素の含有量を分析した。炭材に含まれていたヒ素は、炭化温度400℃以下で得られた木炭では70%以上保持されていたが、500℃以上で得られた木炭では保持能力が低下していた。また、400℃で炭化して得られた木炭を木酢液で抽出したところ、木炭中に保持されていたヒ素の25%程度が流出することが確認された。ヒ素の抽出量は抽出温度に比例していたが、すべてのヒ素を抽出することはできなかった。 ・木酢液中の抗酸化性を検討するために、コナラ木酢液を溶媒分画し、活性を調べた結果、フェノール性物質が強く関与していることが明らかになった。さらに17種の木・竹酢液のフェノール性画分の活性を測定した結果、広葉樹木酢液・竹酢液が針葉樹木酢液よりも高い抗酸化活性を有していた。成分を精査した結果、針葉樹木酢液にはほとんど含まれていないシリンギル骨格のフェノール類が抗酸化活性の主体となっていることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)