2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境収容力評価にもとづく三陸沿岸域の複合養殖生産の高度化
Project/Area Number |
15380130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒倉 寿 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50134507)
武田 重信 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (20334328)
乙部 弘隆 東京大学, 海洋研究所, 講師 (10169328)
岸 道郎 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (90214767)
小河 久朗 北里大学, 水産学部, 教授 (20005656)
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Keywords | 環境収容力 / 貝類養殖 / 海藻養殖 / 植物プランクトン / 複合養殖 / 物理-生態系モデル / 三陸沿岸 / 物質循環 |
Research Abstract |
ホタテガイの摂餌生態および餌料同化特性、養殖筏下部の溶存酸素動態、物理-生態系モデルの流れ場の再現性の検討、および養殖のための環境収容力のモデル解析を大槌湾をフィールドとして行った。 飼育実験と胃内容調査から、ホタテガイは植物プランクトンだけではなく動物プランクトンも、特に微笑動物プランクトンとミクロ動物プランクトンを効率良く利用できることが明らかとなった。動物プランクトンの摂食は、自身の餌料である植物プランクトン競合者を直接利用することと、サイズが小さく餌料とならないピコ・ナノプランクトンを間接的に利用する点で生態学的に重要であることが明らかになった。 流れ場の再現性の検討は、昨年度のADCPによる流動解析の高精度化に伴うモデルの改良であり、河川水による塩分成層の影響を見直すことで再現性が飛躍的に向上した。 この改良モデルを用いてカキとホタテガイの成長を解析した。その結果、カキ、ホタテの成長速度は初期投入量が増加するほど成長速度が悪くなり、特にホタテに比べて初期投入密度が高いカキでは密度の増加に伴う成長速度の低下が大きいこと、この低下は現況の密度よりも養殖量を増加させると顕著になること、逆に低減させても大幅な成長速度の増大が無いことが明らかになり、カキ、ホタテとも現況の養殖密度はほぼ環境収容力に見合っていると結論された。湾内で広く養殖されているホタテガイについて場所による成長速度の違いを検討した結果湾奥ほど成長が悪く,湾央で良いという場所による違い認められ、これは,潮通しの良い湾央では水塊の移動が大きく、養殖貝類の単位時間当たりに接触する海水のボリュームが多くなるため、湾奥に比べて正味の餌量が多くなっているためであると解釈された。この結果から、ホタテガイでは、湾央を中心とした養殖施設の配置が生産量の増加に有効と結論される。
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Research Products
(6 results)