2003 Fiscal Year Annual Research Report
自然環境と共存しうる三次的自然としての農地環境のあり方に関する研究
Project/Area Number |
15380159
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
藤井 克己 岩手大学, 農学部, 教授 (30134513)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 明秀 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (40216932)
武田 純一 岩手大学, 農学部, 助教授 (80133908)
倉島 栄一 岩手大学, 農学部, 助教授 (30178082)
加藤 徹 宮城県農業短期大学, 教授 (70070224)
粕渕 辰昭 山形大学, 農学部, 教授 (00250960)
|
Keywords | 低湿地土壌の物理性 / 低湿地の水収支 / 低湿地の植生 / 低湿地と隣接水田の関連 / 植生の遷移 |
Research Abstract |
研究初年度に当たる平成15年度は、主に農業用ため池周辺低湿地と、農道を挟んでこれらに隣接する水田とについて、土壌・水文・植生環境面での計測を行い、諸基本データの収集に努めた。調査対象地区は、岩手県花巻市北郊「花輪堤」(低湿地)とその周辺水田であり、両者の環境面での関わりについて実証的に検討した。 岩手大学の4名の研究者は、低湿地土壌の物理性(特に水分量)の三次元分布を1年を通じて経時的に計測する(藤井克己)とともに、低湿地・周辺水由の気象・水文データについても同様の計測を行なった(倉島栄一)。これらを総合して低湿地の水収支、周辺水田との水分移動を定量的に把握した。一方、低湿地・周辺水田の植生画像データを収集しその解析に努める(武田純一)とともに、低湿地、農道・畦畔など水田周縁の植生を現地調査により確認した(竹原明秀)。 以上により、対象地区が「二次的自然」「三次的自然」のいずれと見なしうるのか検討したところ、ため池周辺低湿地では4月のかんがい期以降、常に過湿な状態に保たれているため、本来保たれていた「一次的な自然」の状態から植生が遷移し「二次的自然」へと移行しつつあることが確かめられた。周辺水田については、かんがい、施肥、除草,排水など高エネルギーを投下し、「三次的自然」としての高い機能を維持していることを把握した。 なお研究機関の異なる2名の研究分担者については、山形県庄内砂丘地と隣接畑地での土壌物理計測(粕渕辰昭;山形大農学部)や、宮城県北部ため池地域と周辺水田での土壌水文計測(加藤徹;宮城県農業短大)など、同様の比較試験を行ない、前記4名の研究者と情報の交換に努めた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 藤井克己: "廃木材チップの暗渠排水用被覆材としての利用"農業土木学会誌. 71. 305-307 (2003)
-
[Publications] FUJII Katsumi et al.: "Physical properties of soils as influenced by incorporation of wood bark"土壌の物理性(土壌物理学会誌). 96(印刷中). (2004)
-
[Publications] 藤井克己: "粘土ペーストの構造と力学特性"土壌の物理性(土壌物理学会誌). 96(印刷中). (2004)
-
[Publications] 倉島栄一: "粘質水田土壌における暗渠の排水効果に関する試験的検討"農業土木学会誌. 71. 815-818 (2003)
-
[Publications] 倉島栄一: "多段矩形モデルによる貯水池水温の推定"農業土木学会論文集. 227. 131-137 (2003)
-
[Publications] KASUBUCHI Tatsuaki et al.: "Estimation of thermal separation of soil particles from the thermal conductivity under reduced air pressure"European Journal of Soil Science. 55. 193-199 (2004)