2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境変動への葉緑体の応答の多光子レーザ走査蛍光顕微鏡による4次元観察
Project/Area Number |
15380171
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蔵田 憲次 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90161736)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 敬子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50332599)
荊木 康臣 山口大学, 農学部, 助教授 (50242160)
|
Keywords | 多光子レーザ走査蛍光顕微鏡 / 植物 / 蛍光プローブ / 葉緑体 / SNARF1 / 自家蛍光 / pH |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、環境変動時(主に光環境変動時)の細胞内変化を可視化することである。いままでの蛍光顕微鏡や共焦点レーザ走査顕微鏡では、観察に生理作用(主に光合成)を持つ可視光の照射が必要であったため、一種の破壊的観察(観察行為そのものが観察対象の状態を変えてしまうこと)といえる。本研究の着想は、生理作用の比較的少ない赤外域放射の照射による観察が可能な多光子レーザ走査蛍光顕微鏡によって、主に葉緑体の環境変動への応答を観察することである。昨年度は、そのための技術的問題を解決するためにカルシウムイオン濃度観察と取り組んだ。本年度は細胞内pHの観察を目標とした。観察対象はホウレンソウ葉肉細胞のプロトプラストとし、pH感受性プローブとして、SNARF1を用いた。細胞内への導入にはそのAM体を使用した。SNAF1は1波長励起2波長観察が可能であるので、レーシオイメージング法によるプローブの局在などの問題を回避した。得られた結果は以下のようである。なお、本研究は技術的問題の解決であるので、初期pHは水素イオンイオノフォアを用いて調節した。 1.液胞の観察では、光を照射すると、pHが減少したのに対し、光を照射しない場合はpHはほぼ一定の値であることがわかった。当初、AM体によるプローブ導入で液胞への導入の可能性が心配されたが、導入可能であることがわかった。 2.葉緑体の観察では、見かけ上、光照射しないと観察時にpHは低下したが、光照射時は、ほぼ一定の値となった。しかし、この観察結果には葉緑体の自家蛍光が含まれているため、次の観察を行った。 3.SNARF1を導入せず、その他の条件は2とまったく同じにして葉緑体自家蛍光だけを観察した。その結果、自家蛍光は、光照射の有無によらず、ほぼ一定で、2での観察の大きな部分はSNARF1からの蛍光であると推測された。そこで、2での観察結果から3の自家蛍光を差し引いて解析したところ、2での結果が再確認された。
|
Research Products
(1 results)