2005 Fiscal Year Annual Research Report
我が国における獣医内視鏡学の標準化と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
15380218
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
亘 敏広 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (50220950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山谷 吉樹 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50267043)
原 茂雄 岩手大学, 農学部, 教授 (50003778)
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
桃井 康行 東京農工大学, 農学部, 助教授 (40303515)
大石 明広 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (40168852)
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Keywords | 内視鏡 / 動物 / 標準化 / NSAIDs / 消化管潰瘍 / リンパ球のクローナリティ / MAdCAM-1 / 炎症性腸疾患 |
Research Abstract |
平成17年度は昨年度までの実績にさらに症例を加えるとともにそれぞれの研究分担者の施設において、様々な臨床例への応用ならびに内視鏡を用いた研究を実施した。 臨床例に対する応用として「非ステロイド系抗炎症剤により重度胃粘膜障害を起こした犬の2例」や「short colonの猫の1例」「Diabetes mellitus after resection of hepatocellular carcinoma with hypoglycemia in a dog」などの症例報告をまとめた。その他にも興味深い症例をまとめ順次発表予定である。 また研究面では犬の炎症性腸疾患(IBD)の病態解明の一環として腸管局所におけるリンパ球の接着分子の一つであるMAdCAM-1のクローニングをおこない、正常組織における発現状況を明らかにした。またIBD罹患犬におけるMAdCAM-1および他の接着分子であるICAM-1およびVCAM-1の局所における発現解析をおこなった。その結果これら接着因子はIBD罹患犬と健常対照群との間では大きな差は見られなかった。このことより遺伝子レベルでの差はないため今後蛋白レベルでの発現状況を検討する必要性があるものと考えられた。 次に内視鏡サンプルを用いて小腸内のリンパ球のクローナリティ解析をおこない、消化管リンパ腫やその他の腫瘍などの診断の有用性を検討した。内視鏡的に採取した胃、小腸、結腸のサンプルを79症例を用いた。得られた組織からDNAを抽出しPCR法によりIgH遺伝子とTCR遺伝子をそれぞれ増幅し,クローナリティー解析を行った。その結果,病理組織学検査でリンパ腫またはリンパ腫疑いと診断された8症例のうち7症例はPCRで陽性を示し(IgH 1症例、TCR 6症例)、1症例は陰性を示した(88.9%)。一方,病理組織学的にリンパ腫と診断されなかった71症例のうち、5症例がTCR遺伝子にクローン性を示した。この結果本法の有用性が明らかとなった。 さらに非ステロイド性消炎鎮痛剤投与による消化管粘膜に対する評価を行いその安全性についても明らかにした。以上のように、内視鏡検査の標準的な方法を提案しそれに基づき各種検査をおこなうことにより内視鏡を用いた各種疾患の診断および研究に有用な成績を収めることができたものと考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Safety of reduced-dosage ketoprofen for long-term oral administrationin healthy dogs.2006
Author(s)
Narita, T., Sato, R., Tomizawa, N., Komori, S., Tani, K., Hara, S.
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Journal Title
Am. J. Vet. Res. (in press)
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